関学大・被害ＱＢ父が会見「真相が究明されないなら告訴」

　６日のアメリカンフットボール定期戦での悪質なタックルで関学大の選手を負傷させた日大の選手が２２日に東京都内で記者会見することが２１日、発表された。日大選手は内田正人前監督（６２）＝１９日付で辞任届受理＝とコーチの指示に従って危険なタックルをしたと説明する予定。また、内田前監督がタックルを指示した際の具体的な状況がスポーツ報知の取材で判明した。一方で負傷させられた関学大選手の父親で大阪市議の奥野康俊さん（５２）がこの日、大阪府警池田署に被害届を提出したことを発表し、その後、大阪市内で会見した。　

　奥野さんはこの日朝、警察署に妻、ＱＢの３人で被害届を提出すると、夜に大阪市内でマスコミ約１５０人を前に会見した。冒頭から涙を浮かべ「（タックルの）映像が流れる度、息子が目の前で殴られるような状態を見て、憤りは私も家内も収まることはありませんでした」と明かした。

　奥野さんは問題の試合を現地で観戦。長男が投げたボールの行方を追い、何が起きたか分からなかったが、試合後に映像を見て驚いた。タックルした日大ＤＬ選手を加害者として被害届を出した根底には、反則行為が起きた真相を１９日の会見で明らかにしなかった日大・内田前監督への不信感がある。「加害者がなぜ、あそこまで追い込まれたのか。その一点を会見で言っていただきたかった」。日大は２４日までに経緯説明やチーム見解を関学大に提出する予定で、その内容次第では被害届を取り下げる考えもある。一方で、「真相が究明されないなら告訴せざるを得ない」とも語った。

　６日の定期戦は東京・調布市で開催されたため今後、警視庁が捜査する見通し。内田前監督らによる指示の有無が焦点になる。

　ＱＢは右膝軟骨損傷や腰部打撲で全治３週間とされたが、現在は練習にも部分合流。２７日の関西学生大会・関大戦（大阪・エキスポフラッシュフィールド）で戦列復帰の可能性もある。

　◆奥野氏に聞く
　―なぜ今、被害届提出か。
　「内田監督の会見で真実を聞くことができなかった。日大で絶大な権力をもつ監督がどうコントロールされたのか。真相を究明していただくため、告訴の一歩手前の被害届を出した」
　―１５日に日大が関学大に持参した回答書では、内田監督の指導と選手の受け取り方に乖離があったと。
　「言いようだなと。あのプレーを乖離で片付けたらアメフトが成り立たない」
　―今、息子さんの様子は。
　「当初は『家族にこんな悲しい思いをさせるぐらいならアメフトをしなければ良かった』と泣きながら話していたが、今は練習にも復帰しており、『アメフトが好きだ』と言っている」
　―日大選手も会見する。
　「事実を語っていただきたい。スポーツマンシップをもった青年であってほしい。彼にも将来がある」