内田前監督の“恐怖政治” 日大フェニックスの掟どんな理不尽でも「はい」

スポーツ報知
昨年12月、甲子園ボウルの関学大戦で指揮をとる日大・内田前監督

 関東学生アメリカンフットボール連盟の規律委員会による調査で、日大アメフト部の内田正人前監督(62)による“恐怖政治”とも言える指導実態が浮かび上がった。

 時期ごとに特定の選手を選び、練習に参加させなかったり、罰走や声出しなど理不尽なメニューを強いて精神的に追いつめたことが、関係者による証言で明らかになった。同部員一同はこの日、代理人弁護士を通じて声明文を発表。「監督やコーチに頼りきりになり、指示に盲目的に従った」などと問題の背景を説明した。

 生々しく、陰湿な実態が次々と白日にさらされた。規律委員長を務めた関東学連の森本啓司専務理事(48)は調査の中で得た証言を踏まえ「『白でも(内田前監督が)黒だと言えば黒だった』という人もいる。コーチは監督が言うことは絶対で誰も何も言えない。選手もどんな理不尽でも『はい』と実行するのが日大フェニックスの掟(おきて)だった」と独裁体制の一端を明かした。

 標的となったその日から、悪夢が始まる。内田前監督は時期ごとに選手を選び、宮川選手のように精神的に追い込む指導を何度も繰り返していた。ターゲットになることを、部員たちは「ハマる」と言って恐れた。「結果を残さなければ干すぞ」。全体練習から外された上、意味もなくグラウンド10周、声出しを強制される。特に声が小さいわけでもないのに、内田前監督がボソッと「声が小さいな」と言えば、コーチからすぐさま「声が小さいぞ!」と叱責された。今回「ハマッた」宮川選手の様子を見て「顔つきまで変わってしまった」と漏らした選手もいるという。森本氏は「日大の練習は半端なく厳しく、選手は肉体的にも精神的にも追い込まれていた」と説明した。

 ターゲットは、性格が穏やかな選手が多かった。優しさを、精神的な弱さだとみなした。一方的に人格を否定するような言動を重ね、反骨心をあおる手法の弊害はあまりに大きい。「スポーツにおいて、試練を与えるとか、厳しくすることで成長するのも事実。ただ、心のケアも含めて最後まで追い込んでしまったことは、指導者として不向きであるとしか言いようがない」と森本氏は厳しく断じた。

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