田口良一、V7で日本人3人目の統一王者 ベルトどちらも返上せず防衛戦へ

スポーツ報知
11回、田口の右ストレートがメリンドの顔面をとらえた。12回判定勝利で王座統一を達成(カメラ・堺 恒志)

◆報知新聞社後援 プロボクシング トリプル世界戦 ▽WBA・IBF世界ライトフライ級(48・9キロ以下)王座統一戦12回戦 ○WBA王者・田口良一(判定3―0)IBF王者・ミラン・メリンド●(31日、東京・大田区総合体育館)

 WBA世界ライトフライ級王者・田口良一(31)=ワタナベ=が、IBF同級王者ミラン・メリンド(29)=フィリピン=に3―0の判定勝利で7度目の防衛を果たし、日本人3人目の複数団体統一王者となった。

 大歓声の中、熱戦の終了を告げるゴングが鳴った。WBA王者・田口は勝利を確信したようにポン!とグラブをたたき両手を力強く掲げた。「最高の気持ち。自分がこういう舞台で戦えるのが不思議な感じ。2つのベルトを巻いて感慨深い」と、かみしめた。

 日本人の複数団体統一王者は、WBA・WBCミニマム級の井岡一翔、WBO・IBF同級の高山勝成に次いで3人目。日本人の他団体王者との統一戦はこれで4例目だが、勝利は12年6月の井岡以来、5年半ぶり2人目の快挙になった。

 IBF王者を相手に堂々たる戦いぶりだった。序盤こそ硬さが見られたが、徐々に左ジャブの精度がアップ。距離もつかみ主導権を握った。ただ石原雄太トレーナー(35)は「9回が終わったときに、残りを取らないと勝てないと思った」と田口にゲキを飛ばした。さらにギアを上げ、10回には右の強打、11回には左フックでダメージを与えた。「気持ちの勝負と思っていた」。9回にアクシデントで左側頭部から出血したが、闘志あふれる攻撃で勝利を確実にした。

 17年はワタナベジムにとって大きな出来事があった。ジムを長らく引っ張ってきた元WBA世界スーパーフェザー級スーパー王者・内山高志氏(38)が7月に引退。田口が名実ともにジムをけん引していく存在となった。以前は「自分はそんなタイプではない」と話していた田口だが、今では「世界王者である以上、引っ張っていかないと。ベルトを2つ取ってさらに引っ張っていかないと、と感じた」と頼もしい。内山氏も「後輩の面倒を見るようになった。自覚を感じますよね」と目を細めた。

 さらなる飛躍が期待される18年。陣営の渡辺均会長(67)によると、次戦はIBFから対戦を指令されているヘッキー・ブドラー(南アフリカ)とWBAのベルトも懸けて防衛戦を行うことが有力という。2団体統一王者として防衛戦に臨めば日本人選手初の偉業だ。「まずはゆっくり休みたい。これでいい正月を迎えられる」と田口。英気を養い、前人未到の道へ歩みを進めていく。(三須 慶太)

 ◆田口 良一(たぐち・りょういち)1986年12月1日、東京都生まれ。31歳。東京・芝商高3年でワタナベジム入門。2006年プロデビュー。07年に全日本ライトフライ級新人王。13年4月に日本同級王者。同8月に井上尚弥(大橋、現WBO世界スーパーフライ級王者)に判定で敗れ陥落。14年12月に世界初挑戦でロセル(ペルー)を破り、WBA世界ライトフライ級王座獲得。身長167.5センチの右ボクサーファイター。独身。

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