山中、3・1ネリと再戦「必ず勝つ」

スポーツ報知
ネリと再戦を発表した山中(右)は、初防衛戦の岩佐と笑顔でポーズをとった(カメラ・関口 俊明)

◆報知新聞社後援 プロボクシングダブル世界戦 ▽WBC世界バンタム級タイトルマッチ 王者・ルイス・ネリ―同級1位・山中慎介 ▽IBF世界スーパーバンタム級タイトルマッチ 王者・岩佐亮祐―同級13位・エルネスト・サウロン(3月1日、東京・両国国技館)

 プロボクシング前WBC世界バンタム級王者で同級1位・山中慎介(35)=帝拳=が、因縁の雪辱戦でさらなる成長を見せる。所属する帝拳ジムは5日に都内で会見を開き、同級王者ルイス・ネリ(23)=メキシコ=に3月1日、挑戦すると発表。昨年8月にプロ初黒星でV13を阻まれ、王座陥落に追い込まれた相手に必勝を誓った。IBF世界スーパーバンタム級王者・岩佐亮佑(28)=セレス=は、同級13位エルネスト・サウロン(28)=フィリピン=と初防衛戦を行い、ダブル世界戦(報知新聞社後援)となる。

 ついに決まった。因縁の相手との再戦に、山中は胸中を明かした。「どうしてもあの敗戦を思い出してしまう。ベルトもないし、挑戦者という思いが強くなった」。世界戦の発表会見なのに、目の前にベルトがない。失ったものの大きさを自覚しながら、強さが増したことを強調した。

 王座から陥落しても、向上心は失わなかった。勝てば元WBA世界ライトフライ級王者・具志堅用高の連続防衛日本記録に並ぶ昨年8月のV13戦で、4回TKO負け。5年9か月守ったベルトを手放したが、その影響はマイナスばかりではない。「周りのアドバイスを受け入れるようになった。防衛している時は『勝ってるからいいやろ』というのがあった」。V12を誇る元絶対王者が精神面でさらに成長。屈辱のプロ初黒星の試合映像を謙虚に見直し、防御面の課題を埋めてきた。

 家族にも雄姿を届ける。2日に都内のジムに妻子を連れて初練習。年始のあいさつで家族が訪れるのは毎年恒例だが、子どもたちに練習風景を見せるのは初めてだった。「最初は全然、集中できなかった」と慣れない空気があったが、徐々に熱を帯びた。声を張り上げながらパンチを打ち込み、ミットから激しい音が響く。はしゃぎ盛りの長男・豪祐くん(5)は言葉を失い、息をのんで見守った。「一生懸命する姿を見せたかった。勝ってリングに上げたい」。パパの勝利を、幼い息子の脳裏に刻むつもりだ。

 「攻撃面は変わらない。一番の武器はわかっている」と“神の左”は健在。会場の両国国技館は過去3戦全勝と縁起のよさも味方する。ネリのドーピング問題を経ての再戦。「この一戦しか考えていない。勝ってどうするとか考えられない。ネリに借りを返す。僕の頭にはネリしかない。必ず勝って仲間と抱き合いたい」。今、描く人生は3月1日まで。覚悟を持って、ベルトを奪い返す。(浜田 洋平)

 ◆山中 慎介(やまなか・しんすけ)1982年10月11日、滋賀・湖南市生まれ。35歳。南京都高(現・京都広学館高)1年でボクシングを始め、3年で国体優勝。専大を経て2006年1月にプロデビュー。10年6月に日本バンタム級王座を奪取。11年11月にWBC世界バンタム級王座を獲得。17年8月のV13戦で同級王座から陥落。170センチの左ボクサーパンチャー。家族は沙也乃夫人と1男1女。戦績は27勝(19KO)1敗2分け。

スポーツ

×