比嘉、沖縄ボクシングの父にV2捧げる!金城真吉氏、昨年11月他界

スポーツ報知
フエンテス(奥)の前で予備検診を受ける比嘉(カメラ・浜田 洋平)

◆プロボクシング世界戦 ▽WBC世界フライ級(50・8キロ以下)タイトルマッチ12回戦 王者・比嘉大吾-同級9位・元世界2階級制覇王者・モイセル・フエンテス(4日・沖縄県立武道館)

 WBC世界フライ級王者・比嘉大吾が、天国の恩師にKO勝利を届ける。指導者として沖縄ボクシング界の発展に貢献した金城真吉氏(享年73)が、昨年11月に肺がんで死去。自身の宮古工高時代に沖縄代表で総監督を務め、陣営の具志堅用高会長(62)らを育てた名将だ。2日は那覇市内で予備検診と調印式が行われ、故郷でのV2戦で日本タイ記録の15連続KO勝利を誓った。

 比嘉の緊張感が増してきた。沖縄での世界戦は1981年に具志堅会長が14度目の防衛に失敗して以来、37年ぶり4度目。日本勢は過去3戦全敗だが「そういうのは関係なく練習してきた。負け続けていることは気にしていない」。恩師にささげる試合を前に、負のデータを一蹴した。

 金城氏は興南高で具志堅会長を指導し、世界戦V13の礎を築いた。沖縄尚学高でも指揮を執り、約40人の全国大会優勝者を育成。2011年からは東洋大ボクシング部監督を務め、12年ロンドン五輪金メダリストでWBA世界ミドル級王者・村田諒太(32)=帝拳=も指導した。具志堅会長は「昭和の時代に指導を受けて、多くのアマチュア王者をつくり上げた偉大な人」と思いをはせた。

 具志堅会長に指導を受ける比嘉は、いわば金城氏の孫弟子に当たる。高校時代には沖縄代表の総監督と選手として九州大会に出場。負けると「相手が強かったんじゃない。おまえらが弱いだけだ」とハッパをかけられた。昨年5月の王座奪取後にはベルトを持って報告し「ここからが勝負だぞ」とゲキを飛ばされた。沖縄を盛り上げるためにも「(金城氏に)いい勝ち方を見せられたら」と誓った。4日の試合前に行われる追悼の10カウントが、比嘉の闘志を震わせるはずだ。

 これまでの世界戦は減量に苦しんでおり、今回は残り300~400グラム。KOすれば、沖縄出身の元WBC世界スーパーライト級王者・浜田剛史らの日本記録15連続KOに並ぶ。予備検診で測った胸囲97センチは、ミドル級に匹敵する大きさ。「KOは絶対にやらないといけないこと。狙って倒しにいく」。重い拳で勝利のゴングを天国まで響かせる。(浜田 洋平)

 ◆金城 真吉(きんじょう・しんきち)1944年10月16日、那覇市出身。享年73。沖縄・南部農林高でボクシングを始める。日大卒業後、那覇市の消防署に勤めながら69年4月から98年3月まで興南高で、同4月から2014年3月まで沖縄尚学高でボクシング部監督。11年から東洋大でも監督を務め、14年から総監督。昨年11月3日に沖縄県功労者を受賞。同16日に肺がんのため那覇市内の病院で死去。

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