村田諒太、恩師命日に初MVP…ボクシング年間表彰式

スポーツ報知
表彰された(前列左から)藤本京太郎、比嘉大悟、田口良一、村田諒太、井上尚弥、木村翔、藤岡奈穂子(後列左から)下田昭文、内山高志、三浦隆司、小関桃

 プロボクシングの2017年年間表彰式が9日、都内で行われ、WBA世界ミドル級王者・村田諒太(32)=帝拳=が初の年間最優秀選手賞に輝いた。昨年は5月に王座決定戦でアッサン・エンダム(フランス)に敗れたものの、10月のダイレクトリマッチで雪辱。南京都高(現京都広学館高)時代の恩師・武元前川監督(当時)の命日に表彰を受け、改めて恩返しの活躍を誓った。

 村田は胸を張り、引き締まった表情で言葉を並べた。

 「今日は武元先生の命日でもある日です。そういう日に賞をいただけることも、高校の恩師がいまだに見守ってくれているんだな、とつくづく感じております。思えば(13年の)デビュー戦も8月25日。武元先生の誕生日でした。人と人とのつながりが僕をつくってくれた」。ライトに照らされた壇上でスピーチ。会場から称賛の拍手が降り注いだ。

 昨年10月、1995年の竹原慎二以来2人目の日本人ミドル級世界王者となり、ボクシングファン以外からも感動を呼んだ。日本人の五輪メダリストの世界王者は初の快挙。涙の王座奪取だったが、天国の武元氏はまだ満足してくれないと思っている。「『頑張れ』と一言だけ言って背中をたたかれそう。あとは何も言ってくれないと思う」。自身をボクシングの道に引き入れてくれた恩師が亡くなって8年。毎年、命日によみがえる厳しさは、今でも心の支えになっている。

 「これだけ世界王者がいる中で僕がいただけるのは、大変恐縮です」と謙遜するが、今や日本ボクシング界を代表する存在といえる。壇上に並んだ世界王者では最年長となり、「オッサンやな」と思わずつぶやいた。4月15日には同級8位エマヌエーレ・ブランダムラ(38)=イタリア=との初防衛戦(神奈川・横浜アリーナ、報知新聞社後援)を予定。ミドル級で世界王座防衛となれば、またも日本人初の記録がつく。

 「人と人とのつながり、僕と武元先生のような関係をつくっていけるような選手になりたい。ボクシングから受けた恩恵を返せるように、それを子供たちとシェアできれば」。使命と目標は、ファンの心を動かすことだ。(浜田 洋平)

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