山中慎介、ネリに伝言「寒暖差気をつけて」

スポーツ報知
WBC世界バンタム級タイトル戦に向け調整する前王者の山中慎介(カメラ・能登谷 博明)

◆報知新聞社後援 プロボクシング▽WBC世界バンタム級(53・5キロ以下)タイトルマッチ12回戦 ルイス・ネリ―山中慎介(3月1日、東京・両国国技館)

 前WBC世界バンタム級王者・山中慎介が、因縁の相手にまさかの気遣いを見せた。都内の所属ジムで20日、同級王者ルイス・ネリとの再戦に向けた練習を公開。自身の練習後に昨年8月にV13を阻止された相手が来日することを知り、取材に向かう報道陣へ寒暖差に注意するように伝言。前回の試合後にドーピングが発覚した王者と公平に戦うため、計量オーバーなどの問題を起こさないように呼びかけた。

 上空を飛ぶネリに金言を授けた。午後2時に取材に応じた山中は、報道陣に伝言を要求。「前回との寒暖差に気をつけてくれ、と言っといてください」。前回の試合は真夏の8月。再戦までは、気温差20度ほどある冬の都内での調整が強いられる。午後4時半に成田空港に到着予定の王者に“警報”を出した。

 後味の悪い戦いはしたくない。前回の試合後、ネリはドーピング検査で陽性反応を示した。WBCは意図的摂取がないとして不問にし、山中も「僕は普通に負けた。やってないだろうと思っている」と受け止めた。しかし、またも問題が起きては勝負に水を差される。「計量オーバーは絶対ダメですからね。お互い万全じゃないと。プロですから」と、汗の出にくい冬でも完璧な減量を求めた。

 技術的な対策もできている。3分×2回のスパーリングなどで調整。ネリの連打が飛んでくる中間距離では、ガードを固めた。股関節を柔らかく使って腰を落とし、打たれても上半身が浮き上がらないように意識。さらに、左右の拳を振り回すネリの懐に入り込み、左ボディーを打ち込むことを想定した。「自分の良さを出すことはもちろん」と距離を取って左ストレートをぶつけるスタイルが基本だが、主導権を握られた場合の準備も万端だ。

 本番が近づけば、集中するために家族と離れてホテル暮らしが始まる。長男・豪祐くん(5)と長女・梨理乃ちゃん(3)とも、しばしのお別れだ。「子どもたちもネリの名前は覚えている。僕の方が強いという印象を与えたい。勝って、泣かずに笑顔でリングを下りたい」。挑戦者になるのは王座奪取時以来6年4か月ぶり。徐々に気持ちも上がっている。(浜田 洋平)

 ◆気温の比較 前回の試合が開催された8月の京都市の平均最高気温は33.6度(平均湿度67%)。試合当日15日の最高気温は25.1度。2月20日の東京の最低気温は5度。ネリが練習の拠点を置き、出発したメキシコ・バハカリフォルニア州ティファナは、2月の平均最高気温23度。

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