最強へ上り詰めた山中の反骨心…担当記者が振り返る

2018年3月2日9時0分  スポーツ報知
  • 引退を表明した山中慎介

 ◆報知新聞社後援プロボクシング・ダブル世界戦 ▽WBC世界バンタム級タイトルマッチ ○ルイス・ネリ(2回TKO)山中慎介●(1日、東京・両国国技館)

 元WBC世界バンタム級王者・山中慎介(35)=帝拳ジム=が、現役引退を表明した。前同級王者ルイス・ネリ(23)=メキシコ=に2回1分3秒でTKO負け。前日計量で大幅超過した相手との体重差や体力のハンデを背負った試合。昨年8月にV13を阻まれ、ドーピングなど悪質な行為を繰り返したネリに雪辱はならなかった。歴代担当記者が山中の足跡を振り返った。

 ネリへの復讐(ふくしゅう)こそ果たせなかったが、日本ランカーの一人にすぎなかった山中が、ほぼ左ストレートだけで階段を駆け上がっていった姿は実に痛快だった。軽量級では不世出のハードパンチャーは反骨精神に富んでいた。

 2011年11月に世界ランク上位同士の王座決定戦を制したものの、一部のファンから「王者に勝ったわけではない」と厳しい声も上がった。すると、翌12年4月の初防衛戦で、いきなり米国を主戦場にしていた強豪の元世界2階級王者ダルチニャンを挑戦者に迎えた。判定で快勝し、数日後、山中は「これで批判していた人たちを見返せたでしょ」とつぶやいた。勝ち気な性格を垣間見た。

 15年9月のV9戦で元バンタム級王者のモレノを小差判定で退けた。今度は1年後のV11戦で再戦し、TKOで返り討ち。「モレノが倒れる姿を見て気持ちよかった」。試合後の言葉に、不満や重圧を一掃できた気持ちが凝縮されていたように思う。

 「負けたら終わり」と口癖のように言ってきた。だがネリに敗れたことで、燃え尽きかけていた闘争心に再び火をともした。自分自身にもけじめをつけたボクサー人生に、大チャンピオンの矜持(きょうじ)を感じ取れた。(2009~16年ボクシング担当=飯塚康博)

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