【内山高志のジャッジ】ネリはプロ失格 失うものが何もなくなり心理的にも楽だったはず

2018年3月2日10時0分  スポーツ報知
  • 内山高志氏

 ◆報知新聞社後援プロボクシング・ダブル世界戦 ▽WBC世界バンタム級タイトルマッチ ○ルイス・ネリ(2回TKO)山中慎介●(1日、東京・両国国技館)

 元WBA世界スーパーフェザー級スーパー王者の内山高志氏(38)が、無念のTKO負けを喫した山中慎介の世界戦を評論した。体重超過を犯し、王座を剥奪された前王者のネリに「有利に働いた世界戦だった」と振り返り、試合後に引退を表明した山中を「本来なら試合をしなくても良かったのに勇気を持って出場した」とたたえた。

 山中は序盤はジャブにキレがあり、動きも良かった。いい立ち上がりだと思っただけに残念で仕方ない。

 山中はガードを下げ、首をずらしてパンチをよける癖がある。1回のダウンは、まさにそこへネリの大ぶりの右をもらった。2回の最初のダウンは思い切って踏み込んで懐に入った際に、ネリがスッと出した程度の右がタイミング良く入り、続けざまにもらった左が、完全に効いてしまった。

 体重超過を犯したネリはプロ失格だ。山中の思いも分かっていたはずなのに、それでも体重を落とさなかったのだから人間としても失格だ。1キロ以上も体重を落とさず、失うものが何もなくなりメンタル的にも気が楽だったはずだ。こういう状況になれば、本来なら山中は試合をしなくても良かったはずだ。でも、きっと山中は『それでもやらなきゃいけないんだ』という気持ちだったと思う。僕は良く分かる。

 僕も現役時代は三浦隆司との3度目の防衛戦(11年1月)前に右拳を痛め、心境としては試合をキャンセルしたかった。しかし、自分あっての興行だし、「逃げた」と思われるのが、試合に負けるよりも屈辱だと思った。山中も似たような心境だったのかもしれないが、アンフェアな相手と戦った山中の方が相当きつかったと思う。

 どういう形であれ、一度負けた相手との再戦は、自分本来の動きができなくなってしまうものだ。僕もコラレスとの再戦がそうだった。特にKO負けした相手ならなおさらで、僕の場合は「前回よりパワーがあるんじゃないか」「どう出てくるんだろう」といろいろと悩んでしまい、余計な不安を抱えてしまった。

 ボクサーは燃えたぎるものがないと、いくら体が動いても現役は続けられないものだ。山中は12度という立派な防衛記録も残した。先に引退はしたが、同じ時代をけん引した仲間に、いまはお疲れさまと言いたい。(元WBA世界スーパーフェザー級スーパー王者)

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