比嘉大吾、体重超過で王座剥奪 具志堅会長謝罪 JBC「厳罰処分も検討」

スポーツ報知
(計量=1回目)900グラムオーバーの発表の瞬間、厳しい表情をみせた王者・比嘉大吾(左下でうなだれるのは具志堅用高会長)(カメラ・竜田 卓)

◆報知新聞社後援プロボクシング・ダブル世界戦 ▽WBC世界フライ級タイトルマッチ12回戦 前王者・比嘉大吾―同級2位・クリストファー・ロサレス(4月15日、神奈川・横浜アリーナ)

 ダブル世界戦(報知新聞社後援)の前日計量が14日、都内で行われ、WBC世界フライ級王者の比嘉大吾が、50・8キロの制限体重を900グラム超過して王座を剥奪された。2時間の猶予が与えられたが、再計量に挑まずギブアップ。国内の世界戦で日本人選手の体重超過は初の大失態となった。挑戦者のクリストファー・ロサレスは50・5キロで一発パス。当日計量で比嘉が55・3キロの制限体重をクリアすれば試合は行われ、ロサレスが勝てば新王者、負けか引き分けなら王座は空位となる。

 比嘉が減量苦に負けた。3度目の防衛と日本新記録の16戦連続KOがかかった一番で、初めて日本人の世界王者が王座を剥奪された。取材に応じなかった比嘉に代わって謝罪した陣営の具志堅用高会長(62)は「本当に申し訳ございませんでした。選手を信用していたが、まさかという思いです」と唇をかんだ。

 午後1時からの計量5分前に会場に姿を現した比嘉の目は、既に真っ赤だった。計量台に乗ると同時に体重超過のアナウンスが響くと涙を流し、ふらつきながら会場を後にした。限界まで絞るだけ絞っても、900グラムオーバーの51・7キロ。絶望的な数字に、会場から大きなため息が漏れた。再計量まで2時間の猶予が与えられたが、制限時間の30分前に会場に戻ってこなかった比嘉に代わり、具志堅会長がギブアップを宣言。「汗が一つも出ません!」と悲痛な叫びをあげた。減量を始めた2月末の時点で体重は62キロ。50・8キロのフライ級では陣営も限界を感じていた。

 挑戦者・ロサレスの権利を守る協議を行った結果、比嘉は当日計量でリミットの10ポンド(約4・5キロ)を超えない55・3キロの制限体重を条件に出場できることになったが、クリアできなければ試合は中止になる。KO勝ちすれば、日本新記録の16試合連続KO勝利は認められる。検診を行った日本ボクシングコミッション(JBC)の羽生医師も「脱水症状はあったが脈拍、体温とも問題ないので試合はできる体調」と説明した。

 山中慎介が敗れた3月のWBC世界バンタム級タイトル戦では、悪質な体重超過を犯し王座を剥奪されたルイス・ネリ(メキシコ)の問題があったばかり。JBCでも17日に国内罰則規定を発表する予定だった。安河内剛事務局長は「範を示す立場の世界王者だけに影響力はある。非常に遺憾。長期出場停止を含め厳罰処分も検討して、この流れに歯止めをかけないといけない」と話した。(小河原 俊哉)

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