体重超過の比嘉大吾、初黒星 16日にも処分 厳罰も

スポーツ報知
9回TKO負けを喫し、会場のファンに頭を下げる比嘉(右)(左奥は具志堅会長=カメラ・堺 恒志)

◆報知新聞社後援プロボクシング・ダブル世界戦 ▽WBC世界フライ級タイトルマッチ ○クリストファー・ロサレス(9回 TKO)比嘉大吾●(4月15日、神奈川・横浜アリーナ)

 王座を減量失敗で剥奪された前王者の比嘉大吾(22)=白井・具志堅スポーツ=が、同級2位のクリストファー・ロサレス(23)=ニカラグア=に9回1分14秒、TKOで敗れ、プロ初黒星を喫した。

 ベルトを失った比嘉は当日計量をクリアして試合に臨んだが、日本新記録となる16戦連続KOの達成はならなかった。勝ったロサレスが、同級新王者の座に就いた。比嘉の戦績は15勝(15KO)1敗、ロサレスは27勝(18KO)3敗となった。

 幕切れは突然やってきた。9回1分14秒。比嘉が防戦一方になったところで、陣営がレフェリーに棄権を申し出た。ロサレスの連打にさらされ、TKO負け。沖縄の星に、プロ初黒星がついた。リングを下りる際には、手を合わせファンに謝った。赤黒く変色した顔で、トレーナーに肩を抱かれて医務室に直行。足取りは重く、頼りなかった。「ごめんなさい」と具志堅会長の前で涙に暮れた。

 会見できる状態ではないという本人の代わりに、具志堅会長が報道陣に対応した。「本人が(リングに)上がると言った。2、3ラウンドで本当に止めるつもりだった」。持ち前の強打は単発。懐に潜り込んでのフックに活路を見いだそうとしたが、逆にアッパーで顎をはね上げられた。

 前日計量では、フライ級のリミット50・8キロを大きく上回る51・7キロでギブアップ。国内の世界戦で、日本人選手の体重超過は初めての大失態だった。V3と、16連続KOの日本新記録がかかった一戦を前にベルト剥奪。この日は当日計量をクリアし、試合にはロサレスを600グラム上回る56・4キロまで戻して臨んだ。しかし、直前まで体調不良が伝えられていた。検診では異常はなかったというが、赤みを帯びた顔色は平常ではなかった。

 本場のリングで歓声を浴びる日を思い描いていた。2月末に米カリフォルニア州で行われた軽量級の祭典「SUPERFLY2」を視察。3つの世界戦をリングサイドで観戦した。「すごい雰囲気。かっこいい」と、モチベーションをかき立てられたが、野望は遠ざかった。

 試合後は検査のため、病院へと向かった。王座剥奪のショック、敗戦の失望感は大きい。「最大の原因は(減量の)期間。今の若い子には2か月ちょっとでは無理」。具志堅会長はしばらく休養させながら、JBCの処分を待つ考えだ。まだ22歳。苦すぎる経験を糧とし、はい上がる時間はある。(太田 倫)

 ◆比嘉 大吾(ひが・だいご)1995年8月9日、沖縄・浦添市生まれ。22歳。沖縄・宮古工高でボクシングを始める。アマ戦績は36勝(8KO)8敗。高校卒業後に上京し2014年6月、プロデビュー。15年7月、敵地タイでの王座決定戦でWBC世界ユース・フライ級王座獲得。16年7月、東洋太平洋同級王座奪取。17年5月、WBC世界フライ級王座奪取。14日の計量失敗で王座剥奪。身長161センチの右ファイター。

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