村田諒太、一撃フィニッシュの右フックが開眼

スポーツ報知
初防衛から一夜明け、勝利を伝える本紙を手に笑顔を見せる村田諒太(カメラ・堺 恒志)

 WBA世界ミドル級王者・村田諒太(32)=帝拳=が、開眼した右フックで本場に乗り込む。エマヌエーレ・ブランダムラ(38)=イタリア=に8回TKO勝ちし、同級日本人初の防衛成功から一夜明けた16日、都内の所属ジムで会見。今秋に計画する米ラスベガスでのV2戦に向け、初防衛戦で挑戦者を退けた一撃で手応えをつかんだことを口にした。V3戦に対戦する可能性のある世界同級3団体統一王者ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)を「理想的な目標」として強さを追い求める。

 一夜明け、心地よい疲労をにじませていた。「疲れている」という村田はV1を表すため、人さし指を立てて写真撮影。「山中さんは、これを12回って考えられない」。南京都高(現・京都広学館高)、帝拳ジムの先輩で元WBC世界バンタム級王者・山中慎介氏(35)は12度防衛。偉大さを改めて実感した。

 初防衛戦で、試合中に“進化”した。序盤は右を打つ際に体が開いてしまっていたといい、「パンチが出るのが遅くなる。(力の)乗り方が悪い」と5回から冷静に修正。相手が正面にガードを構えてきたため、8回に軌道を変えた右フックで倒した。「途中で修正できてよかった。今までにないKO。映像で見て『こんなに角度があったんだ』と思った」と、フィニッシュの必殺の一撃に収穫があった。

 前日の試合後、米ラスベガスで予定するV2戦について本田明彦会長(70)が「米国で米国人選手と戦わせたい」と明言。技の引き出しを増やした村田は「(強豪と戦う自信を)一戦一戦、深めている」と本場のリングを心待ちにしている。現時点の大目標は、年内に東京ドームでの対戦プランが浮上する現役最強のゴロフキン。「彼は強さの象徴。(強さに)リアリティーがある。理想的な目標」と見定めた。

 試合後には「あの時間に電話しても『何時だと思ってんの?』って言われそう」と自宅にいた家族と会話もできず。佳子夫人とメールをしただけで「『お疲れさま』くらい。一番、素っ気なかったと思う」と笑いを誘った。4月は休養に専念する予定。5月6日は長女・佳織ちゃんの4歳の誕生日、10日は8回目の結婚記念日、13日は長男・晴道くんの7歳の誕生日とイベントが目白押しだ。「休息という名の家族サービスが待つ。世のお父さんと同じですよ」。さらなる挑戦を前に、しばらくはパパに戻る。(浜田 洋平)

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