田口良一、前日に異例の敵国ジャッジ騒動…“おあいこ”で解決

スポーツ報知
WBAとIBFのチャンピオンベルトを肩にかけ、挑戦者のブドラー(左)と健闘を誓い合う田口良一(カメラ・川口 浩)

◆報知新聞社後援 プロボクシング ダブル世界戦 ▽WBA・IBF世界ライトフライ級統一王座防衛戦 WBA・IBF王者・田口良一―IBF6位・ヘッキー・ブドラー(20日、東京・大田区総合体育館)

 日本人初の2つのベルトを懸けた統一王座防衛戦を前にひと騒動が起きた。ダブル世界戦(報知新聞社後援)は20日、東京・大田区総合体育館でゴング。19日は試合会場で調印式と前日計量が行われ、WBA・IBF世界ライトフライ級統一王者・田口良一の陣営が、ジャッジ3人の中に対戦相手と同じ南アフリカ人がいることに異議。渡辺均会長(68)は、一時は結果次第で無効試合要求も辞さない構えを見せたが、結局、1人を日本人ジャッジに代える解決策が出された。計量は4選手ともリミットで一発パスした。

 発表されたジャッジ3人は米国人、メキシコ人に加え、1人がブドラーと同じ南アフリカ人だった。これに田口陣営の渡辺会長が「敵国のジャッジがいるなんてありえない。常識だよ。頭おかしいんじゃないか!?」と声を荒らげて変更を要求。田口も「公平がいい。僕は日本人もなしで、(選手と)関係ない国、中立がいい。判定ならかなりの確率で相手(有利)になる。ちょっと納得いかない」と首をかしげた。

 今回は2つの団体が承認する統一王座防衛戦。通常なら両団体の提出したリストの中から3人を選定する。IBFは数週間前に3人を発表し、WBAのリスト待ちだった。しかし、WBAの担当者が休暇中で連絡が取れず、試合3日前の17日にジャッジを出さないと返答。IBFが最初に提出した3人で行うことになった。

 ルール上は問題ない。出場選手と同国ジャッジの起用は珍しくなく、WBAの立合人を務める日本ボクシングコミッション(JBC)の安河内事務局長は「IBFからすれば普通のこと」とした。だが、田口陣営の要求に「(同国のジャッジが)ひいきするという前提ではないけど、見た目はアンフェアな印象。好ましくはない。誤解を与えないよう、IBF本部と最善を尽くした」と、結局、同日中にメキシコ人ジャッジを日本人に変更する解決策を出した。

 渡辺会長は「(興行主として)事前に知らなかったのはこちらのミス」と認めつつ、解決策が出る前には「変更なく、仮におかしな判定になったら無効試合を要求する」と強固な姿勢を示していた。複数団体が絡む世界戦ならではの事態。計量は両者ともにリミット48・9キロで一発パスし、田口は「(ジャッジの国籍は)関係なく自分の戦い方でいく」。あくまで冷静なファイトを誓った。(浜田 洋平)

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