田口良一、1点差判定で一気に2本のベルト失う…渡辺会長が抗議文提出へ

スポーツ報知
判定でブドラー(左)に敗れ、王座防衛に失敗した田口(右)(カメラ・堺 恒志)

◆報知新聞社後援 プロボクシング ダブル世界戦 ▽WBA・IBF世界ライトフライ級統一王座防衛戦 ○IBF6位・ヘッキー・ブドラー(判定 3-0) WBA・IBF王者・田口良一●(20日、東京・大田区総合体育館)

 WBA・IBF世界ライトフライ級統一王者・田口良一(31)=ワタナベ=が王座から陥落した。日本人初の2つのベルトを懸けた統一王座防衛戦で、IBF同級6位ヘッキー・ブドラー(30)=南アフリカ=に0―3の判定負け。最終12回の採点に不服を示した陣営は両団体に抗議文を提出し、ダイレクトリマッチ(直接の再戦)を実現させる意向を示した。IBF世界ミニマム級王者・京口紘人(24)=ワタナベ=は判定勝ちで2度目の防衛に成功した。(観衆3700)

 最終12回、田口の左フックは確かにブドラーの顔面を捉えた。だが、レフェリーは尻もちをついた場面をスリップと判定。田口は残り2分で前に出たが、倒し切れなかった。陣営の渡辺均会長(68)は、終了のゴングが鳴るやいなやリングに上がり、繰り返しリプレーが流れるスクリーンを指さしてレフェリーに猛抗議。会場からも「ダウン!」と怒号が飛び交い、リングサイドに詰め寄る一般客もいた。

 勝敗が下される前に、レフェリーが抗議を受け入れダウンに覆したが、判定は3者とも113―114。田口は一気に2本のベルトを失った。「残念の一言です。結果は受け入れる。相手が実力者だった」。開始から動きが鈍く「調子が悪かった。いつもと違う。思いのほか動かなかった」とジャブを打てず、後手に回った。「あんなに動かなかったのは初めて。試合前から顔色がさえなかった。自分の責任」と石原雄太トレーナー。今までに比べ、計量前に体重が落ちにくかった。慣れない昼の興行と加齢による影響は否定したが、調整不足による序盤のポイント差が勝敗につながった。

 渡辺会長は「相手は百戦錬磨でいい選手。11回までの採点は完全な負け」と認めたが「12回はダウンを取って一方的に攻めていれば、(10―8ではなく)10―7じゃないか」と主張。引き分けに持ち込めば防衛成功だった。WBAとIBFに抗議文を提出し「世界ランクを落とさず、次(再戦)のチャンスをもらえるようにしたい」と9月をメドにダイレクトリマッチが開催できるように動く。

 ブドラーは初防衛戦を日本で戦う契約。契約を買い取れば放棄できるが、本人は前向きだ。陣営も試合後の控室で渡辺会長に「また会おう」と握手を求めた。あとは田口の意思次第だ。「正直、今は何も考えられない。(再戦指令が)出たら考えたい」。約3年5か月守った王座から陥落。時間をかけて答えを出す。(浜田 洋平)

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