【内山高志ジャッジ】僕の採点もジャッジと同じで田口の負け…序盤での失点が響いた

スポーツ報知
12回、レフェリーがブドラー(右)はスリップと判断

◆報知新聞社後援 プロボクシング ダブル世界戦 ▽WBA・IBF世界ライトフライ級統一王座防衛戦 ○IBF6位・ヘッキー・ブドラー(判定 3-0) WBA・IBF王者・田口良一●(20日、東京・大田区総合体育館)

 WBA・IBF世界ライトフライ級統一王者・田口良一(31)=ワタナベ=が王座から陥落した。日本人初の2つのベルトを懸けた統一王座防衛戦で、IBF同級6位ヘッキー・ブドラー(30)=南アフリカ=に0―3の判定負け。最終12回の採点に不服を示した陣営は両団体に抗議文を提出し、ダイレクトリマッチ(直接の再戦)を実現させる意向を示した。

 僕の採点も3人のジャッジと同じ113―114で田口の負けだったが、主な敗因は序盤にポイントを取られ過ぎたことだろう。ジャッジの採点が割れた中盤は接戦で、後半4回に最終12回のダウン奪取を含め巻き返したが、序盤での失点が大きく響いてしまった。

 ブドラーのパンチ力は全然なかったが、田口が得意とするボディー打ちをうまく封殺していた。これだけ僅差なのだから、相手の作戦勝ちとも言える。動きが世界最速3階級制覇のロマチェンコ(ウクライナ=現WBA世界ライト級王者)をマネしていて、田口が打ち返そうとすると体をくっつけたりサイドにかわしたりして、リズムを崩されていた。

 もともとがスロースターターの上に、これまで後半に体力が落ちる相手との対戦も多く、後半に何とかなるだろうという考えもあったと思う。調子があまり良くなかったとも耳にしていたし、日本初の統一王座防衛戦の重圧も多少は影響したのかもしれない。確かに同時にタイトルを2つ失ったのは大きいが、それ以上にこの敗戦から大きなことも学んだはずだ。

 ダイレクトリマッチになれば、同じ轍(てつ)は踏まないだろう。31歳とはいえ、まだまだ若い。僕が30歳で初めて世界タイトルを取って37歳まで現役を続けられたのだから、いけるはずだ。

(元WBA世界スーパーフェザー級スーパー王者)

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