•  スポーツ報知のWebサイト限定コラムがスタートしました。最前線で取材する記者が、紙面では書き切れなかった裏話や、今話題となっている旬な出来事を深く掘り下げてお届けします。皆さんを「ほーっ!」とうならせるようなコラムを目指して日々配信しますので、どうぞお楽しみください。

完全復活宣言の棚橋弘至 全てを物語る筋肉の盛り上がりを見よ!

2018年3月19日11時0分  スポーツ報知
  • 16日のニュージャパンカップ準決勝で快勝した後、笑顔で記者の質問に答えた棚橋弘至

 たった1枚の写真が、その選手のエースとしてのプライドを如実に物語っていた。

 まずは16日、東京・後楽園ホールで行われた新日本プロレス「NEW JAPAN CUP(NJC)2018」大会のメインイベント後に撮った勝者・棚橋弘至(41)のバックステージ・インタビューの写真を見て欲しい。

 どうだろう、この大胸筋の盛り上がり。こちらも撮りながら、心の中でボディービルの大会で称賛の意味で使われる「(筋肉が)でかい!」と何度か叫んでいたことを正直に告白する。

 右ひざ変形性関節症を克服し、今月9日に43日ぶりのリング復帰を果たしたばかり。この日は新日・春のシングルス戦トーナメント「NJC」10年ぶり3度目の優勝を目指し、準決勝に臨んでいた。帰ってきたエースは13歳年下のエース級外国人・ジュース・ロビンソンとバチバチの闘志剥き出しファイトを展開。度重なるひざの故障の原因ともなっているハイフライフローを解禁。必殺技の2連発で見事、決勝進出を決めた。

 この試合、入場時から振り注いだ札止め1716人の観客からの「ゴー、エース!」の大合唱も凄かったが、快勝後に展開されたファンにはおなじみの“セレモニー”こそ、業界トップ団体をこの10年間、支え続けてきた「100年に1人の逸材」の真骨頂だった。

 試合後、マイクを握ると「ケガからの復帰のシリーズということで期待よりも不安の方が大きいかも知れませんが、リングに上がったからには、その心配は無しで。大丈夫。ちょっくら優勝してきます」とV宣言。勝利の際に披露するエアギターも観客の「もう1回!」「もう1回!」のリクエスト連発に答え、計3回披露する大サービス。「これが最後~!」の叫びにファンはさらにヒートアップした。

 リング上に横たわって腰を突き上げるエアギターでたっぷり楽しませた後は、もう一度、マイクを握り、「最後にみんなの前ではっきりと宣言しておきます。もう一度、新日本プロレスの頂点に立ちた~い! いや、絶対に立~つ!」と完全復活を宣言。恒例の「後楽園ホールの皆さ~ん、愛してま~す!」で約10分間続いた大パフォーマンスを締めくくった。

 まるでロックスターの公演のような「棚橋劇場」が生み出した観客の幸せそうな顔、また顔の数々。これだけはIWGPヘビー級王座10連覇中の絶対王者・オカダ・カズチカ(30)にも、数多くのファンが、そのTシャツを着て試合観戦に臨む大人気ユニット「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」率いる内藤哲也(35)にも絶対にマネのできない棚橋だけの世界。そう、この男しか生み出せないグルーブ感が会場を包み込む。

 さらに凄いのは、退場する際、リング四方の最前列の観客と順番にハグ、握手、差し出されたタオルで汗を拭いて返す大サービス。特に女性ファンをその分厚い胸に抱きしめ、ちびっ子ファンを抱き上げてほおずりする姿には「さわれるスーパースター」の魅力が、たっぷりとあふれ出ていた。

 さらにバックステージでも取材陣をも魅了する棚橋の舞台は続く。「(優勝まで)あと一つ!あと一つ!」と記者たちに手拍子を要求すると、「浮かれてますよ~。ケガからの復帰。試合で失ったものは試合で取り戻すしかない」。汗まみれの笑顔で言うと、「今、まさに俺は全盛期を超えます」と言って格好良く去った―。と思ったら、いきなり戻ってきて「いや、待って! やり直します」とニヤリ。「俺は生涯、全盛期です」と記事にピッタリの決めぜりふまで口にして“退場”。さすがは高校時代、スポーツ新聞の記者を目指していたというコメント力まで見せつけてくれた。

 そして、話は冒頭の1枚の写真に戻る。言葉以上に雄弁に「完全復活」を証明していたのが、その驚くほどパンプアップされた体だ。1月27日のIWGPインターコンチネンタル・ヘビー級戦で挑戦者・鈴木みのる(49)の右ひざへの執拗な関節技を食らい、長期欠場を余儀なくされた棚橋は復帰までの42日間、ひたすら東京・世田谷の新日道場で上体中心に鍛え続け、見事に全盛期の身体を取り戻していたのだ。

 戻ってきた「100年に1人の逸材」のパーフェクト・ボディーと最高の笑顔を捉えたのが、この1枚の写真だと私は自負している。

 棚橋は21日、新潟・アオーレ長岡大会で行われるNJCの決勝で7822の関節技を操るザック・セイバーJr.(30)と戦う。この大会で内藤、飯伏幸太(35)、SANADA(30)と優勝候補をことごとく破ってきた「サブミッション・マスター」ザックを下せば、同大会10年ぶり3度目の制覇となる。

 優勝者にはオカダの保持するIWGPヘビー、鈴木のIWGPインターコンチネンタル、後藤洋央紀(38)のNEVER無差別級の3つの王座いずれかへの挑戦権選択の権利が与えられるNJC。

 オカダが自身の持つIWGPヘビー連続防衛記録11にあと1と迫ってきているだけに、棚橋が4月1日、東京・両国国技館大会のメインイベントで用意されるIWGPヘビー級戦でオカダの挑戦者に名乗りを上げる可能性は大。実際、15日の6人タッグマッチでオカダと対戦した際、棚橋はバチバチの場外戦を展開。試合後のバックステージでも「オカダにうまいこと泳がされてますね。コケにすんなよ、コノヤロー」と、吐き捨てていた。

 自他ともに認める完全復活を遂げたエースが、ついに歩み始めた復活ロード。プロレス・ファン、そして棚橋ファンの皆さん、お楽しみはこれからだ。(記者コラム・中村 健吾)

  • 楽天SocialNewsに投稿!
コラム
今日のスポーツ報知(東京版)
報知ブログ(最新更新分)一覧へ