元選手が怒りの声、自転車連盟ドーピング問題「禁止物質想像せず」

2016年4月22日6時0分  スポーツ報知

 日本自転車競技連盟(JCF)の公式サプリに世界反ドーピング機関(WADA)が指定する禁止物質が含有していた問題で、元有力選手が21日、スポーツ報知の取材に応じ、怒りの声を上げた。また、JCFと公式スポンサー契約を結ぶ健康補助食品販売会社「梅丹(めいたん)本舗」の松本喜久一社長(53)がこの日、大阪府摂津市の同社で会見。ドーピング検査でリオデジャネイロ五輪代表への影響次第では「腹の切り方を考えなければ」と悲壮な表情を見せた。

 運動能力を高める“禁断の技”として使われるドーピング。連盟が契約する公式サプリに、禁止物質に指定されるたんぱく同化ステロイドの一種が含まれるという想定外の事態に、元有力選手は「記者会見して発表するなど、自主的な対応が取れなかったのか」と連盟の初動の遅れに疑問を呈した。

 元選手は、現役時代から同社のサプリを数種類摂取していたという。「禁止物質が含有しているとは想像もできなかった」と嘆く。試合会場や練習場の控室などに常備され、関係者なら誰でも口にできる状態だった。「摂取しやすいよう味なども工夫され、おいしかった」と話した。

 ドーピング検査では禁止物質の摂取が故意か過失かは問われない。2010年にはスペインの自転車選手、アルベルト・コンタドールが禁止物質が含まれた餌で飼育された家畜の肉を食べ、陽性反応が出て処分されたケースもある。

 また、市販の風邪薬や漢方薬などにも禁止物質が含有していることがある。検査対象のアスリートは試合会場以外、自宅で抜き打ち検査を受けることもあり、日々神経をすり減らし生活している。元選手は、他競技の選手にも影響が広がる可能性を指摘し、「第三者による実態解明と再発防止策を打ち出すと同時に、混乱を招いた責任者の処分が必要だ」と痛烈に批判した。

 また現役選手では、この日、埼玉・西武園競輪場でレースに出場したリオ五輪代表の渡辺一成(32)が「基本的に僕は梅丹の製品は使っていない。オフィシャルなサプリメーカーなのに連盟がしっかりチェックしていない事実が甘い」と厳しい口調で言い切った。

 禁止薬物が検出されたのは、青梅果汁を加熱して濃縮し、90年以上の歴史を持つ「古式梅肉エキス」とエキスを配合した2009年発売のアスリート用商品「トップコンディション」。松本社長は「商品を使っていた選手はこれまでドーピング検査をクリアしており、梅は大丈夫という認識が根付いてしまった。脇が甘かった」と釈明した。

 アスリート支援商品は07年から開発した。禁止物質の検査は「十年来の宿題だった」というが、検査機関が日本に存在しないため、今年2月になって英国の機関に依頼して発覚した。「これまで外国に依頼する発想はなかった」とした。

 禁止薬物含有していると連絡を受けた翌日の4月7日、リオ五輪代表を含む約50選手に説明し、使用中止を要請した。松本社長は「選手は当初、戸惑っていた。謝るしかなかった」。東京五輪出場を目指す若手の親からは「息子に何かあったら、どうしてくれる」と罵声も浴びたという。

 ドーピング検査を控える選手からは「いつもより疲れており(商品を)山盛り飲んだが、大丈夫か」とも聞かれた。「(個々の検査が)陰性なら検査結果は言い渡されないが…」と松本社長。「もしものことがあれば? どう腹を切るか考えなければ」と顔をこわばらせる場面もあった。

五輪
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