【世界柔道】ウルフ、6戦中4試合の延長を制し頂点「しぶとさでは負ける気はなかった」

2017年9月4日6時0分  スポーツ報知
  • 男子100キロ級で優勝し、ガッツポーズするウルフ・アロン(ロイター)

 ◆世界柔道第6日 ▽男子100キロ級決勝 ○ウルフ(優勢)リパルテリアニ●(2日、ハンガリー・ブダペスト)

 男子100キロ級のウルフ・アロン(21)=東海大=が初出場で優勝を果たした。決勝でバルラム・リパルテリアニ(ジョージア)に延長の末、大内刈りで技ありを奪って優勢勝ちした。同階級で日本勢は2連覇。個人戦が終わり、日本は男女計14階級で12個のメダルを獲得。7階級を制したのは2010年の東京大会の8に次ぎ、1999年バーミンガム(英国)大会に並ぶ2番目の好成績だった。

 ウルフがほえた。決勝は指導2つを先行されたが、焦りはなかった。「しぶとさで負ける気はなかった。終盤になれば絶対に自分のペースになる」。勝負どころを待ち、延長27秒。手前に引き込み、相手が反応したところで得意の大内刈りを仕掛け、技ありを奪って勝負あり。全6試合のうち4試合が延長にもつれた激戦の末に頂点に立ち「全て出し切った感じがする。最高です」と声を弾ませた。

 自らを支えた無尽蔵のスタミナの原点は中学時代にあった。当時は「柔道より勉強」。試験1週間前から稽古を休み、理科のテストで満点を取るなど学年で総合3位にもなった。両親には「柔道は勝てないし、中学で辞める。高校はアメフトをやる」と宣言していたが、転機は2年の終わり。稽古中に1学年下の後輩に投げられ、壁にたたき付けられる屈辱を味わい、負けん気に火がついた。「見返してやる」。登校前。近所の土手を毎日、10キロ走り込み、体力と根性を養った。

 米国人の父は大学の英語講師。「フィリップ」のミドルネームも持つが、英検3級で「英語はしゃべれない」と笑う。東京生まれの東京育ちで「誰よりも日本人らしいと思っている」。日本代表としての責任感は強く、練習熱心。今年は東海大で主将を務める。部員120人の投票で90票以上を獲得して選ばれるなど、仲間からの信頼も厚い。

 成長速度も周囲の予想を上回る。東海大の上水研一朗監督は「東京五輪までの3年で完成させたい。今大会は伸びしろを知るための経験」と位置付けていたが、パワーやスタミナは世界で十分に通用することを証明した。国際大会の実績不足により14年には派遣を見送られた男子100キロ級も、羽賀龍之介(26)=旭化成=が制した前回に続き、日本勢が2連覇と「勝てる」階級に変貌。その勢いを象徴する21歳は「このまま突っ走って、東京五輪も必ず優勝する」と言い切った。

 ◆ウルフ・アロン 1996年2月25日、東京・葛飾区出身。21歳。米国人の父と日本人の母を持ち、春日柔道クラブで柔道を始め、文京第一中―東海大浦安高。東海大4年。17年に全日本選抜体重別選手権を2連覇し、全日本選手権は準優勝。講道館杯は2連覇中。2013年全国高校総体は100キロ超級で制覇。世界ランク31位。得意は大内刈り、内股。180センチ。

  • 楽天SocialNewsに投稿!
その他
今日のスポーツ報知(東京版)