内村航平、棄権で世界7連覇消え、連勝40で止まる「すねが真っ二つに折れたかと思った」

2017年10月4日6時0分  スポーツ報知
  • 男子予選の跳馬で、痛めた左足首を押さえながら苦もんの表情を見せる内村航平(共同)
  • 負傷棄権した内村(右は白井=共同)

 ◆世界体操 第1日(2日、カナダ・モントリオール)

 開幕して男子予選が行われ、個人総合7連覇を狙った16年リオ五輪金メダルの内村航平(28)=リンガーハット=は2種目目の跳馬で左足首を負傷し、4種目目の鉄棒以降を棄権した。08年11月から続いていた個人総合公式戦での連勝も40で止まった。3班終了時点で、リオ五輪団体金の白井健三(21)=日体大=は85・697点で暫定4位。15年大会銀のラルドゥエト(キューバ)が86・699点で暫定首位。3日の最終4班の結果で予選順位が決まる。

 想像しない幕切れだ。内村は跳馬で今季初投入の大技「リ・シャオペン」を着地まで決めた。審判に一礼した直後だった。左足首を押さえ、数歩歩いて座り込んだ。「すねが真っ二つに折れたかと思った」。端正な顔はみるみるゆがんだ。次の平行棒は何とかやり抜いたが、着地は弱々しい。「万全の状態で演技できないので諦めはついた」。苦渋の途中棄権。大会7連覇を逃し、08年からの個人総合の連勝も40で途絶えた。

 Dスコア(難度点)を競い、技の高度化が進む現代体操。特に跳馬では、折れた骨が皮膚を突き破る開放骨折など、選手生命に関わる負傷リスクもある。そんな中でけがを最小限に抑えたから、五輪を含め8年連続世界王座を守れた。支えたのは「(ロンドン五輪まで使っていた)シューフェルト(=難度点5・2)なら、目をつぶってもできる」と言うほど常人離れした空間認知力。イメージと身体がずれないから、常に完成度の高い演技を繰り出せた。

 それでも「リ・シャオペン」だけは特別だった。世界で数人しか成功者がいない大技。開発者・李小鵬(中国)の映像を「100万回は見た」。15年に日本人で初めて実戦投入にこぎ着けた切り札中の切り札。「毎回、跳ぶ時は怖い。この跳躍で死ぬかもしれない。一瞬で終わるのに、こんなに怖い種目はない」と打ち明ける。16年リオ五輪は鮮やかに決めた「リ・シャオペン」を原動力に2連覇したが、もろ刃の剣だった。

 昨年12月にプロ転向。新たなスタートは飾れなかったが、水鳥寿思強化本部長は「棄権して来年、東京五輪に向けてやった方がいいと(所属先監督の)佐藤コーチとも話をした」と語った。負傷の程度は不明だが、まずは来春の全日本個人総合などを目標に復帰を目指すことになる。

 東京五輪は個人総合か、鉄棒など得意種目に絞ったスペシャリストか―。松葉づえ姿の内村は「違う形(種目を絞ったスペシャリスト)で東京五輪までやってもいいとも思ったけど、それは逃げているのではないかと思う部分もある。しっかり治してはい上がりたい」と眼光を鋭くした。

 ◆内村とけが 15年5月のNHK杯後に左肩を負傷。4か月後の全日本シニア選手権で復帰し、状態が危ぶまれた15年グラスゴー世界体操に間に合わせて個人&団体の2冠に輝いた。16年8月のリオ五輪個人総合決勝でも、腰を痛めながらベルニャエフとの接戦を制して五輪2連覇を飾った。

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