銅・白井がつないだ日本男子体操の伝統「航平さんのために」個人総合11大会連続表彰台

2017年10月7日6時0分  スポーツ報知
  • あん馬に臨む白井(ロイター)

 ◆世界体操 第4日(5日、カナダ・モントリオール)

 男子個人総合決勝が行われ、予選4位の白井健三(21)=日体大=が合計86・431点で銅メダルを獲得し、日本勢は同種目で03年大会から11大会連続の表彰台となった。

 最初の床運動では唯一の15点台となる15・733点をマークし、跳馬でも全体トップの15・000点。エース内村航平(28)=リンガーハット=が左足首負傷で予選を途中棄権した中、20年東京五輪へオールラウンダーとしての成長を示した。予選2位の肖若騰(中国)が86・933点で初優勝した。

 白井の心が沸騰した。予選で落下した鉄棒をノーミスで演技。自然とガッツポーズが飛び出した。「よく頑張ったと思う。航平さんのために頑張りたい気持ちが大きかった」。予選を途中棄権した内村から、お守り代わりにゼッケンをもらっていた。託された思いを力にした。世界体操の個人総合表彰台には03年から日本選手が立ち続けている。この伝統を初挑戦でつなぎ「日本の個人総合の面目を何とか保てた」と胸をなで下ろした。

 床と跳馬の“ひねり王子”が、名実ともにオールラウンダーの道を歩み出した。今季NHK杯(5月)で内村に次ぐ2位となり「今は個人総合の選手という自覚がある。床が駄目でも他で点を取ればいいと切り替えられる」と心境に変化があった。この日は落ち着いて臨んだ最初の床運動で、全体1位の15・733点。跳馬もトップの15・000点で流れをつかみ、最終種目の鉄棒をトップで迎えたベリャフスキー(ロシア)が落下する幸運も味方につけた。日本協会の水鳥寿思・強化本部長(37)は「内村選手の後を継ぐような力を持っていると感じた」と絶賛。日体大の畠田好章コーチ(45)も「ほとんど練習通り」と緊張とは無縁の精神力を評価した。

 「自分がやってきたことが一番詰まったメダル」と白井。中学・高校時代に指導した水口晴雄コーチは「彼は冬でも(6種目を)通していましたから」と振り返る。並の選手なら寒さで練習量が落ちるオフでも、常に全ての器具を触る。得意の床と跳馬に偏らず、残り4種目とも向き合い続けた努力の結晶だった。一方で、21歳は冷静に立ち位置を見る。「(内村)航平さんが出ていたら4番だったと思う。けがをしただけで、抜かせたとは思っていない」。同年齢のライバル・肖(中国)も今大会初V。メダルを手にしても、謙虚な姿勢は変わらない。

 今大会は、種目別決勝の床と跳馬にも出場。内村とは、来春の全日本個人総合で対決となりそうだ。「次は国内で1番になることを目指したい」。万全の絶対エースを超えた時、東京五輪金が手の届く未来になる。

 ◆白井 健三(しらい・けんぞう)1996年8月24日、神奈川県生まれ。21歳。体操一家に育ち、卓越したひねりの技術を武器に、床運動と跳馬で3つずつ「シライ」と名のつく新技を成功。世界選手権は種目別の床運動で2013年と15年大会優勝。リオ五輪は団体総合金メダル、種目別の跳馬銅メダル。5月のNHK杯で2位となり個人総合で初の代表入り。日体大3年。163センチ、54キロ。

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