東京五輪・パラ聖火台に縄文土器デザインを!形ピッタリ本気でアピール

2017年12月12日14時0分  スポーツ報知
  • 聖火台への採用をPRする「越後長岡 雪の女王」若山有沙さん

 東京五輪・パラリンピックの聖火台に、縄文時代の火焔(かえん)型土器のデザインを採用するよう要望する動きがある。突拍子もない話にも聞こえるが、全国の関係市町村や文化人たちからなる「縄文文化発信サポーターズ」は、組織委員会副会長の遠藤利明・元五輪相(67)に2度要望書を提出するなど、本気でアピール活動中だ。なぜ、5000年も前に誕生したという昔々の古い土器にこだわるのか。日本で初めて出土した新潟県長岡市で取材して来た。(甲斐 毅彦)

 国境の長いトンネルを抜けると雪国であった…が、さらに北へ進むと火焔型土器があった。中越・長岡市は、1936年に日本で初めて火焔型土器が出土した地。市内を流れる日本一の大河、信濃川が縄文人の暮らしを支えていたのだろう。まずは市内の馬高縄文館へ行き、展示されている実物とレプリカをじっくり見てみよう。

 力強く炎が上がっているような圧倒的な造形。これは確かに聖火台にピッタリかもしれない。同館の小熊博史館長(54)は「古今東西の焼き物の中でも突起を持つのは、日本の縄文土器だけ。浮世絵や歌舞伎と同様に日本文化そのものであり、源流であるとも言えるんです」と解説する。大阪万博(1970年)で太陽の塔を造った芸術家の故・岡本太郎氏は、初めて火焔型土器を見た時に、目玉を開いて驚き「ここに日本がある!」と叫んでいる。

 聖火台への採用を目指し、縄文文化研究の第一人者・小林達雄国学院大名誉教授を会長に「縄文文化発信サポーターズ」が発足したのは2016年7月。長岡市を中心に全国75の市町村が会員となり、縄文文化ファンの俳優・津川雅彦(77)ら文化人16人も賛同している。小林会長は「煮炊きしたものを出し入れするのには邪魔だったはずの突起物があるのは、土器の機能性プラスアルファ、自然と共存共生していた縄文人固有の世界観が表現されている。これは同時代の(中国)大陸には見られなかった文化。聖火台にふさわしいと考えるのは、決して奇をてらうのではなく、現代性があるメッセージが込められているんです」と力を込めた。

 実は火焔型土器の聖火台モデル案は、1964年の東京五輪開催前にも浮上した。長岡市出身の作家、故・松岡譲氏が「古代人のおおらかな無限の生命の躍動」「火焔が燃えさかるような上辺の造型の見事さ」と感嘆して提唱。実現には至らなかったが、64年新潟国体の炬火台に採用された。馬高縄文館の小熊館長は「地域の歴史的遺産を広く市民と共有する先駆的な事象だった。2020年にリベンジして縄文文化を世界に発信できれば」と意気込んでいる。

 現時点では64年に使われた聖火台を再び使用するのが有力。だが、11月7日に、小林会長らが遠藤元五輪相に要望書を渡した時には、興味を示され、感触は悪くなかったという。小林会長は「前回のものを使うのもありでしょうが、それでは芸がない。建物を造るほどの予算はかからないので、検討してほしい」と話す。

 聖火台案には未解決の問題が一つだけある。メンバー内から「下から火で炙(あぶ)って煮炊きに使っていた土器の中から炎が上がるのは不自然ではないか」という声があがっている。「土器の下に受け皿を置き、噴水のように囲む聖火台にしてはどうか」という代案もあるが、結論はまだ出ていない。採用された場合、総合プロデューサーの手腕に委ねることになりそうだ。

 ◆火焔型土器 縄文時代中期を代表する土器。燃え上がる炎をかたどったかのような形状で豊かな装飾性が特徴。東日本では信濃川流域の新潟県、長野県北部、阿賀野川流域の福島県西部など200以上の遺跡から出土している。長岡市馬高遺跡、十日町笹山遺跡、野首遺跡などが特に多い。

 ◆初出土の地・長岡マラソンでもPR

 長岡市では、東京五輪・パラリンピックへ向けて縄文文化発信の機運を高めようと、10月1日には「第1回ながおか縄文の丘マラソン」を開催した。「5000年前の縄文人たちが走り回っていた丘を走ろうという狙いで、全国から770人が参加。全国マラソン大会評価ランキングで4位になったという。

 当日は木材で疑似聖火台を作り、ゆるキャラ「火焔マン」も登場して盛況だった。実行委員会事務局長の松本克幸さんは「聖火台のPRと連動してマラソン大会も東京五輪へ向けて成長させていきたい」と話す。

 また16日から来年2月25日まで国学院大学博物館(東京都渋谷区)で開催される芸術家・岡本太郎氏の企画展「いのちの交歓―残酷なロマンティスム」では、火焔型土器のレプリカが展示される予定だ。

 ◆64年東京五輪の聖火台は石巻市に

 埼玉県川口市の鋳物師の鈴木萬之助さん、文吾さん(いずれも故人)親子が鋳造した1964年東京五輪の聖火台は現在、聖火リレーの出発点として検討されている東日本大震災の被災地、宮城県石巻市に貸し出されている。聖火台の設置時期は、競技場が完成する2019年11月以降となるため、まだ新聖火台の作製を検討する猶予はある。

東京2020

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