栄氏の長女・希和、涙の白星…「えこひいき代表」報道の汚名返上

スポーツ報知
スウェーデン選手に果敢にタックルを仕掛ける栄希和(右)(カメラ・小河原 俊哉)

◆レスリング女子 国別対抗戦・W杯第1日(17日、高崎アリーナ)

 日本が3連勝で4連覇に王手をかけた。ともに16年リオ五輪金の川井梨紗子(23)=ジャパンビバレッジ=と土性沙羅(23)=東新住建=ら20人が出場。五輪4連覇の伊調馨(33)=ALSOK=を巡るパワハラ告発状問題の渦中にいる栄和人強化本部長の長女、希和(24)=ジェイテクト=は、初戦スウェーデン戦の65キロ級で勝利し「えこひいき代表」報道の汚名を返上した。18日の決勝は中国と対戦する。

 勝ち名乗りを受けた栄希和は、あふれる涙をこらえきれず、チームメートも共に泣いた。「ホッとしたのが一番でした。どんな状態でも勝たないと、と思って」。父・和人氏のパワハラ告発状問題に揺れる中で臨んだ国別対抗戦はスウェーデン戦の1試合だけに出場。「緊張で」硬くなり格下選手に先制点を奪われる大苦戦を強いられたが、逆転勝ちして役割を果たした。

 昨年12月の全日本選手権5位の成績で今回のメンバーに入った。だが、選考したトップは父だったため「えこひいきでW杯に出るとテレビ番組に取り上げられた」として、出身校の至学館大・谷岡郁子学長が怒りの会見をすることにもなった。本人も動揺を隠し切れず「怖いって気持ちになって、自分が出て大丈夫かなと思った」。一時は出場辞退も考えた。しかし「自分が出て勝つのが最高の形だと思った」と決意した。

 心身衰弱を理由に父は自宅で療養中。希和は「自分のレスリングを一番分かってくれるお父さんがいなくて寂しいし、心細い気持ちになったけど、教わったレスリングができたと報告したい」と父を思った。日本協会の福田富昭会長(76)は「勝って見返すしかない。今のレスリング協会もそうだが、我々の活路は勝つこと以外にないんだ」と話した。(小河原 俊哉)

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