関学大・多田、今季目標は「最低9秒台」

スポーツ報知
スタートを改善し、さらなる飛躍を狙う関学大・多田修平

 昨年8月のロンドン世界陸上で400メートルリレーの第1走者として銅メダルを獲得した多田修平(21)=関学大=は、今季100メートルで念願の9秒台を出すために、スタートの改善に取り組んでいる。昨年6月に追い風参考ながら9秒台に突入した期待の星は、2020年東京五輪でのメダル獲得を目標に、さらなる進化をテーマに掲げた。

 「9秒台は最低目標」と今季を強く意識する多田が注力するのは、スタートの改善だ。昨年に続いて大阪陸協の強化育成事業「夢プログラム」で2~3月に約2週間ずつの米国、豪州合宿を行った際に着手。「詳しく言うと、今まで僕のスタートはピッチで回し過ぎて(レースの)後半にバテていた。そこを改善したい」と進化へのテーマを掲げた。

 課題だった後半の勝負強さにつながるといい、「1歩目を(遠くに)力強く。スタート時だけピッチは落ちるが、後半に体力を残すため。最高速度を今までの50~60メートル地点ではなく70メートル地点ぐらいにもっていく」と、狙いを説明した。

 昨年9月の日本学生対校選手権(インカレ)決勝では10秒07と自己ベスト更新も、1学年上の桐生祥秀(当時東洋大)が日本人初の10秒の壁を突破。9秒98を出されて敗れた。後半に伸びが出ず、悔しさだけが残った。

 スタートで強く蹴る力をつけるため、昨冬は肉体改造にも取り組んだ。「スクワットの負荷は100~110キロぐらい。自分でも分かるほどお尻が大きくなった。体重も2キロ増えて68キロで今が一番理想的」と手応え。4月15日の大阪記録会(ヤンマー)のレース直後には、「(スタートで)スムーズに出られた。今の意識を忘れずにキレを出していければ」と好感触を口にした。

 2年後の東京五輪で、メダル獲得を本気で狙う関西期待の星は、「まず日本人ライバルに勝ちたいという気持ちが強い。日本選手権で勝たないとアジア大会にも参加できない。両大会にピークをもっていって勝ちたい」と、日本一とアジア一の称号を目指す。5月は関西学生対校選手権(西京極)とセイコーゴールデンGP(ヤンマー)に出場予定。レースごとに多田の進化から目が離せない。(田村 龍一)

 ◆多田 修平(ただ・しゅうへい)1996年6月24日、東大阪市生まれ。21歳。石切中で陸上競技を始める。大阪桐蔭高3年時は100メートルでインターハイ6位。関学大3年時の17年6月、日本学生個人選手権で追い風参考ながら9秒94。同8月、ロンドン世界陸上では4×100メートルで銅メダル。自己ベストは100メートルが10秒07、200メートルが21秒21。176センチ、68キロ。家族は両親と弟。

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