【森末慎二の目】内村は演技中に確信「着地も決まる」

スポーツ報知

◆体操 世界選手権代表選考会兼NHK杯(20日・東京体育館)

 男子個人総合が行われ、同種目で12年ロンドン、16年リオデジャネイロ五輪金メダルの内村航平(29)=リンガーハット=が、3位だった4月の全日本個人総合選手権との合計258・629点をマーク。大逆転で前人未到の10連覇を成し遂げた。白井健三(21)=日体大=が2位に入り、2人が団体総合3位までの20年東京五輪出場枠獲得を目指す世界選手権(10~11月・ドーハ)の代表に決定。全日本を最年少で制した谷川翔(かける、19)=順大=は最終種目の鉄棒で落下し4位だった。

 内村はやはり「勝ち方を知っているな」と感じた。最初の床運動から丁寧な演技で着地を決めてきた。ここぞという場面で力を発揮するベテランのうまさが光った。逆転勝利に結びついた最後の鉄棒は完璧。回っている段階からリズムが良く、回転の途中で詰まったりバランスが崩れることが一切なかった。演技中に「着地も決まる」と確信した。鉄棒で逆転し金メダルを取ったリオ五輪個人総合の再現だった。

 世界選手権への課題は体力と技の難易度。跳馬など、まだ絶好調時より少し難易度を下げている種目もあるため、難易度を上げた時に体力が持つか。そして、美しさを保つことができるか。練習量を増やせばけがのリスクもある。スタミナを強化するより、今の体力を維持させることが重要になる。全日本王者の谷川翔は鉄棒で落下したが、他の5種目では実力を示した。白井とともに内村を追い、体操界を引っ張ってほしい。(84年ロス五輪鉄棒金メダリスト)

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