野口啓代、最多勝に王手の通算21勝目「やっと勝ちたい大会で勝てました」

2018年6月4日6時0分  スポーツ報知
  • W杯ボルダリング第5戦で優勝した野口啓代(カメラ・酒井 悠一)
  • スポーツクライミング各種目

 ◆スポーツクライミング ボルダリングW杯第5戦 最終日(3日、東京・エスフォルタアリーナ八王子)

 女子決勝は野口啓代(29)が3完登でW杯3連勝、通算21勝目。男女通じて最多となるアンナ・シュテール(30)=オーストリア=の22勝に王手をかけた。野中生萌(みほう、21)が2位に入り、地元で日本勢がワンツーフィニッシュ。シニア1年目の伊藤ふたば(16)は5戦目で初の決勝に進み6位だった。

 野口は最後のホールドに飛びつき、右手をかけた。「絶対に離さない」。揺れる体を腕1本で支えながら、左手をねじ込んだ。最終第4課題は、先にトライした野中が1回目で成功。2回以内で完登しなければV逸となる状況を一撃で仕留めると、右拳で何度も壁をたたいた。昨年2位の悔しさを晴らし「やっと勝ちたい大会で勝てました」と目を潤ませた。

 4度のW杯年間総合女王を誇る日本のエースは、勝ち方を知っている。第2課題を2度失敗したところで、いきなり観客の方を振り返った。「1、2課題で疲れてしまっていて、みなさんのパワーがないと登れないなと。ここは勝負だと思った」。両手で会場をあおった後、再び壁と対峙(たいじ)。2453人の拍手に後押しされながらクリアした。

 5月30日に29歳の誕生日を迎えたベテランは、体も心も衰え知らずだ。「五輪が決まって、昔より何倍もヤル気が出た」。誕生日もジムにこもって練習をした。優勝後、真っ先に抱き合い喜んだ妹分の伊藤は「年々強くなっている。勝ち切れるところとか、全部勉強になる」。一回り近く年が離れた16歳からも、競技と向き合う姿勢に尊敬の念を抱かれている。

 今夏のジャカルタ・アジア大会と9月の世界選手権(オーストリア)は東京五輪と同様にボルダリング、リード、スピードの3種目で争う複合競技が組み込まれた。次戦のベイル大会(8~9日、米国)でW杯最多勝に並ぶ可能性があるが「ボルダリングの22勝よりも、早くリードやスピードを練習したい。世界選手権やアジア大会の方が大事」と言い切った。「自国開催で優勝できる経験を積んでいきたい。2年後へ向けて、安定した選手になりたい」。視線は2020年の表彰台へ向いている。(高木 恵)

 ◆ボルダリングW杯のルール 予選は制限時間5分の5課題、準決勝は5分、決勝は4分の4課題。決勝は6人で行われる。順位は「完登数」で決まるが、同数の場合は各課題に定められた「ゾーン」と呼ばれる高度に達した数の「ゾーン獲得数」で決定。ともに同数の場合は「完登に要したトライ数」が少ない選手が優先される。

 ◆野口 啓代(のぐち・あきよ)1989年5月30日、茨城・龍ケ崎市生まれ。29歳。東洋大中退。11歳の時にグアム島でフリークライミングを体験し、魅力を知る。02年に小学6年生で全日本ユース選手権制覇。08年ボルダリングW杯モンタウバン大会(フランス)で日本女子初優勝。ボルダリングW杯の年間優勝は4回(09、10、14、15年)。趣味はショッピング、猫と遊ぶこと。勝負ネイルは赤。165センチ。49キロ。

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