79キロ級・高谷がド根性V 準決途中から脱水症状で手足しびれ、吐きながら

スポーツ報知
男子フリー79キロ級決勝で山崎弥十朗を破り、ひょっこりはんのものまねをする高谷惣亮(カメラ・川口 浩)

◆レスリング 全日本選抜選手権第2日(15日、東京・駒沢体育館)

 男子フリースタイル79キロ級は高谷惣亮(29)=ALSOK=が決勝で山崎弥十朗(21)=早大=を8―3で破り、10月の世界選手権(ハンガリー・ブダペスト)の代表入りを決めた。決勝前に脱水症状で嘔吐(おうと)する緊急事態を乗り越え、74キロ級と合わせて通算5度目の優勝。11月に予定する挙式でのメダルお披露目を誓った。

 高谷が土壇場で底力を見せた。2―3で追う決勝の残り6秒。13年国体以来となる日本人相手の敗戦がよぎったが、強烈なタックルで2点を奪って一蹴した。通算5度目の大会制覇に「若手が強くなっている。いい刺激ですね」。ブレイク中のピン芸人・ひょっこりはん(31)のような顔をのぞかせるモノマネで会場の笑いを誘った。

 マット上でおどけた裏で緊急事態に見舞われていた。準決勝の途中から脱水症状で手足がしびれ、汗が止まらない。決勝に進んだが、控室でも呼吸が乱れて目がチカチカした。「水を吸収しない。『もう、吐こう!』と思ってのどに指を突っ込んだ」。トイレに駆け込みスッキリ爽快。1週間前に脱臼した右手小指の痛みもお構いなしに、ド根性の代表入りだ。

 今春から通う筑波大大学院では「なぜ日本の中重量級は世界で勝てないのか」を研究。論文を読み込み、自分に取り入れながら後輩の指導でも実践する。「選手とコーチの関係って大事。選手の気持ちを考えた立場にいたい」。16年リオ五輪は74キロ級だったが、20年東京五輪は86キロ級で挑戦。筋力強化を始めた反面、今大会は6キロの減量苦が生じた。世界選手権後に見据える転級にも、研究が役立つはずだ。

 昨年1月11日に3歳年下の女性と結婚したが、8月の世界選手権は2回戦敗退。今年は11月11日に挙式を控える。「1並びはたまたまだけど良い数字。メダルを取ってお披露目したい」。65キロ級の弟・大地(23)も17日に優勝すれば代表入り。兄弟で初の世界制覇を目指し、喜びを何重にも重ねていく。(浜田 洋平)

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