リオ五輪代表、悪性リンパ腫から2年ぶり復帰の渡利璃穏が涙の優勝

スポーツ報知
女子68キロ級で優勝した渡利璃穏(右)は決勝のセコンドについた吉田沙保里と抱き合った

◆レスリング全日本選抜選手権 第3日(16日、東京・駒沢体育館)

 女子68キロ級はリオデジャネイロ五輪75キロ級代表で悪性リンパ腫で闘病していた渡利璃穏(りお、26)=アイシンAW=が、リオ五輪以来2年ぶりに復帰。決勝で関千晶(警視庁第六機動隊)を残り8秒で逆転し、3―2で涙の復活優勝を遂げ、世界選手権(10月、ブダペスト)代表に決まった。

 「第1試合の前は、緊張を取り越して全身が震えた。決勝はこれまでやってきたことを出せば勝てると思って臨んだ。絶対に勝てるとしか考えていなかった。家族が支えだった。もう一度五輪に出て、メダルを取るという夢を持ってくれていたので…」。涙で声を詰まらせた。

 五輪前の7月の検査で胸に腫瘍が見つかり、五輪後の9月の精密検査で病名が明らかになった。五輪後に闘病生活が始まった。10月から3月末までの半年間、2週に1回の抗がん剤治療を続けた。「寝たきりになったり、立ちくらみも多くて。本当にレスリングに戻れるのか不安になった」。そんな時は、初戦で敗れたリオ五輪の悔しさを思い出した。「必ず東京五輪でメダルを取る」と、自分を奮い立たせた。

 昨年9月から体を動かし始め、今年1月にマット練習を再開。「闘病している人の苦しみを知った。以前は当たり前のようにレスリングをして『練習いやだな』って思っていたことが情けない」。

 スタンドでは父・敏久さん(57)と、母・さとみさん(55)が見守った。21日のさとみさんの誕生日を前に届いた勝利に「最高のプレゼントをもらいました」と目を潤ませた。

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