至学館大が“ランチ”と“せいじ”で栄監督を解任…後任に吉田沙保里も

スポーツ報知
16日、至学館大・川井友香子(右)にアドバイスする吉田沙保里

 日本レスリング協会副会長で至学館大の谷岡郁子学長(64)が17日、全日本選抜選手権会場の東京・駒沢体育館で会見を開き、五輪4連覇の伊調馨(34)=ALSOK=らへのパワーハラスメントが認定された栄和人監督(57)を解任することを発表した。後任には同大学副学長で日本代表コーチを兼任する五輪3連覇の吉田沙保里(35)が浮上。谷岡学長は「あり得ると思います」と、有力候補の一人として認めた。

 急きょ決まった試合後の会見で、谷岡学長は切り出した。「東京五輪へ向けての新しい道に、一人ついて来られない人がいたと思わざるを得ない。栄和人監督を解任することを決定しました」。14日に謝罪会見を開き至学館大監督として現場復帰した栄氏をめぐり、3日後に事態は急転した。

 解任決断の引き金として“ランチ”と“せいじ”が挙げられた。「(謝罪)会見後、数日の様子を見ていたが、反省できていなかった。全く期待外れでした」と学長。セコンドとして選手と共に戦うよう栄氏に伝えたが、聞き入れられなかったという。14日は至学館大応援席で、タレントの千原せいじと並んで観戦する姿がメディアでも取り上げられた。「会見が終わって何時間もたたぬうちに、芸能人の方と並んで。2日目(15日)は試合中に友人と昼食を食べに出たと聞いてショックだった」(学長)。15日夜に自宅謹慎を命じ、栄氏を名古屋へ帰した。16日に解任を決断し、本人に伝えると「申し訳ありませんでした」と返事があった。栄氏は16、17日と会場に姿を見せなかった。

 4月以降に至学館高、大学の現役選手と卒業生らにカウンセラーが立ち合いのもと、聞き取り調査を実施しパワハラの調査をしたことも明かした。「言ってはいけない類いの言葉もあった。問題と思った事案がいくつか出てきた」。5月24日には学生、同僚、選手に多大な迷惑をかけたことを理由に、減俸の懲戒処分が科されたことも明らかになった。

 後任監督には吉田沙保里が浮上した。学長は人選として「あり得ると思います」と認めた。副学長の吉田は東京五輪挑戦については保留し、至学館大で練習をしながら後輩の指導も行っている。実力、実績、カリスマ性は十分。「副学長やコーチ、選手と、どんなチームを作って行きたいかを話しあって、今後のことを決めていきたい」と学長。吉田は恩師の解任報告に「仕方がない。レスリング部、至学館を守るには仕方がない判断だと思う」と口にしたという。

 ◆栄 和人(さかえ・かずひと)1960年6月19日、鹿児島県生まれ。57歳。日体大卒。フリースタイル62キロ級で87年世界選手権銅メダル、88年ソウル五輪出場。96年に愛知・中京女子大付高に赴任。中京女子大(現至学館大)の指導も手掛けメダリストを輩出。08年にレスリング協会女子強化委員長、13年に強化委員長。15年には男女3スタイルの総括責任者の強化本部長就任。今年4月に強化本部長を辞任。23日の評議員会で常務理事解任が正式に決まる。

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