「山の神」を見いだした東洋大の名スカウト佐藤尚コーチが退任

スポーツ報知
名スカウトとして名高い東洋大の佐藤コーチ

 第95回箱根駅伝(1月2、3日)で3位だった東洋大の佐藤尚コーチ(65)が任期満了に伴い、3月末で退任することが28日、分かった。名スカウトとして鳴らした佐藤コーチは、高校時代に全国的には無名だった「2代目・山の神」柏原竜二さん(29)や2016年リオ五輪で日本男子マラソン史上最年長代表となった石川末広(39)=ホンダ=らの才能を見いだし、東洋大に勧誘した。「東洋大で25年間、やれるだけのことはやりました」と充実の表情で話した。

 佐藤コーチは、高校時代には全国的な活躍はしていないものの潜在能力を秘めた選手を“発掘”する眼力を持っていた。柏原さんや石川のほか、リオ五輪男子マラソン代表の北島寿典(34)=安川電機=や埼玉・川口北時代はサッカー部員だった山本浩之(32)=コニカミノルタ=ら日本トップクラスに成長した教え子は多い。今年の箱根駅伝8区3位と健闘した鈴木宗孝(1年)も神奈川・氷取沢高時代は長距離部員が4人しかいなかったため、駅伝経験がない異色の選手だった。さらに「知将」と呼ばれる酒井俊幸監督(42)もかつては佐藤コーチが東洋大に勧誘した選手だった。「これまでたくさんの選手と出会った。その中には五輪に行ってくれた選手もいるし、酒井監督のように立派な指導者もいる。幸せな25年でした」と佐藤コーチは感慨深げに東洋大で過ごした日々を振り返った。

 4月以降の活動は未定。「まずはお世話になった全国の高校の先生方のあいさつ回りをさせていただく。ありがたいことに多くの方々に慰労会を開いてもらうことになっていて3月のスケジュールはいっぱいですよ」。大学駅伝界の名物コーチは満面に温厚な笑みをたたえて話した。

 ◆佐藤 尚(さとう・ひさし)1953年4月29日、秋田・平鹿町(現横手市)生まれ。65歳。秋田工高では800メートルの選手として活躍。72年、東洋大に入学後、マネジャーに転身。76年に卒業後、秋田で就職し、営業マンとして活動。94年に東洋大監督に就任。2002年からコーチ兼スカウト。09年、東洋大が初優勝した箱根駅伝では監督代行として指揮した。

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