「007は二度死ぬ」でショーン・コネリーと共演した佐田の山、その真相は

2017年5月2日5時0分  スポーツ報知
  • 1966年、国技館で記念撮影を行う(左から)佐田の山、大鵬、ショーン・コネリー、柏戸

 大相撲の第50代横綱・佐田の山で、日本相撲協会理事長も務めた市川晋松さんが肺炎のため4月27日、東京都内の病院で亡くなっていたことが1日、同協会から発表された。79歳だった。現役時代は大鵬、柏戸とともに横綱として活躍。引退後は名門・出羽海部屋の師匠として元小結・舞の海(現タレント)らを育て、1992年2月から3期6年の理事長時代には巡業改革などに手腕を発揮した。故人の遺志により葬儀は親族で行った。

 1967年公開の映画「007は二度死ぬ」で、主人公のジェームズ・ボンド(ショーン・コネリー)が暗号解読器を入手するために日本を訪れる。潜入したのは、なぜか本場所開催中の蔵前国技館。支度部屋に入っていったボンドの目当ての人物は、横綱・佐田の山だった。

 「サダノヤマ?」と問い掛けられた横綱は「ああ」と応えて「This is your ticket(これがあんたのチケットだ)」とマス席券と思われるチケットを手渡す。イギリス秘密情報部の工作官に、現役横綱が支度部屋で直接チケットを渡す…。洋画で日本を描く際にありがちな荒唐無稽な場面だが、なぜ佐田の山が抜てきされたのだろうか。

 本人に真相を聞いたのは、映画公開から38年後の2005年秋。すでに日本相撲協会を退職した隠居の身で、スポーツ報知評論家として協力してもらっていた。東京・上野の料理店で酒が進んできた頃に「あのシーン、なんで親方だったんですかね」と聞いてみた。

 「さあ…」と少し考えてから懐かしそうに笑い「私が手頃だったんじゃないですかね」と話していた。当時、人気を誇ったのは横綱・大鵬で、ライバル横綱・柏戸とともに「柏鵬時代」を築いていた。佐田の山は65年の夏場所で優勝して以降、賜杯から遠ざかり「柏鵬」の陰に隠れていた。映画のエキストラくらいなら俺が…という気遣いがあったようだ。「あの場面が大鵬さんじゃ、いくらなんでもおかしいでしょう」。目を細めた温和な笑顔が忘れられない。(2001~06年大相撲担当・甲斐 毅彦)

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