白鵬、鶴竜に報酬減額の厳罰処分 暴行を防げなかったことへの責任で…臨時理事会

スポーツ報知
両国国技館を引き揚げる鶴竜

 日本相撲協会は20日、東京・両国国技館で開いた臨時理事会で、元横綱・日馬富士関(33)の暴行問題を巡る関係者の処分を協議し、現場の酒席に同席した白鵬(32)=宮城野=、鶴竜(32)=井筒=の2横綱に1月の給与を不支給とするなどの報酬減額処分を科した。元日馬富士関の師匠だった伊勢ケ浜親方(57)=元横綱・旭富士=は監督責任を取って理事を辞任し、役員待遇委員に降格。巡業部長の貴乃花親方(元横綱)への処分は、協会危機管理委員会の聴取が終わっていないため先送りした。

 白鵬、鶴竜の横綱2人にも異例となる報酬減額の厳罰処分が下された。危機管理委員会の経過報告を受けた先月30日の理事会では、処分を想定していないとしたが一転して、暴行を防げなかったことへの責任を問題視。横綱審議委員会(横審)の臨時会合では「厳重注意を」との答申を受けたが、理事会は全会一致で厳罰処分を特別決議した。月給282万円の横綱の給与を白鵬、鶴竜ともに来年1月は全額不支給。白鵬はさらに2月の給与も半分にされ、計423万円の減額となる。八角理事長は「白鵬は給与なしで初場所に出場することになる。2月の給与は半分とする」と発表した。両横綱は初場所の懸賞金は受け取れる。

 白鵬の処分理由を八角理事長は「最高位の横綱でありながら、目の前で起きた同じ横綱の暴力を防ぐことができなかった。第一人者でありながら、暴力を防げず、大相撲の信用の失墜を招いた、その責任は軽くない」。鶴竜も同様の処分理由ながら白鵬より軽くしたことについて、「白鵬に比べれば責任の程度は若干軽いと言えるので、処分に差をつけた」とした。

 横審は力士としての白鵬も批判した。史上最多40回目の優勝を果たした九州場所では11日目の嘉風(尾車)戦で審判に抗議、千秋楽優勝インタビューでは万歳など不適切な言動。協会から厳重注意を受けたが、北村正任委員長(76)は「適切な措置」と断じ、さらに相撲の取り口にも注文。同委員長のもとには多くの投書が寄せられていると明かし、「張り手、かち上げは15日間で10日以上もあり、こういう取り口は横綱相撲とは到底言えないだろうと。『美しくない』『見たくない』というものだった」と報告。「白鵬自身の自覚を促すよう、協会としても工夫、努力をしてほしい」と苦言を呈した。

 臨時理事会前の正午すぎには鏡山危機管理部長が白鵬、鶴竜を国技館に呼び出し処分の見通しを通達。両横綱から「いかなる処分にも応じます」と返答を受けたという。白鵬は横審の開催前に国技館を出て、東京・墨田区の宮城野部屋で約5時間、待機。理事会での正式処分を伝えられた後、午後6時前に部屋を後にしたが、報道陣の問いかけには無言だった。

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