貴乃花親方理事解任…電話無視改善されなければ理事再選承認しない

スポーツ報知
臨時評議員会を終え、貴乃花親方の処分を発表する池坊評議員会議長(右は小西評議員)

 日本相撲協会の臨時評議員会が4日、両国国技館で開かれ、元横綱・日馬富士関(33)の暴行問題で、協会への報告などを怠った巡業部長の貴乃花親方(45)=元横綱=の理事解任の決議案を審議し、全会一致で承認した。理事の解任は史上初。今後は電話への応答など職務遂行を怠った場合は、初場所(14日初日・両国国技館)後に控える理事候補選挙で当選しても、3月末の評議員会で承認しない可能性も浮上。2階級降格の役員待遇委員で指導普及部副部長からの返り咲きを目指す同親方に“物言い”がつく形となった。

 予想通りに貴乃花親方の処分が決まった。昨年12月28日の臨時理事会での提案を審議、承認した評議員会の池坊保子議長(75)は、暴行問題での報告義務の怠り、危機管理委員会への調査協力拒否を挙げ「公益法人役員の忠実義務に大きく違反している。(貴乃花親方の行動で)今回の問題がここまで大きくなり長引いている」と初の理事解任の根拠を説明した。

 強調したのは同親方の態度だった。冬巡業に帯同しなかった昨年12月、鏡山危機管理部長(元関脇・多賀竜)が「電話しても出ないから」と計5回も都内の貴乃花部屋を訪問。「上司であり先輩でもある八角理事長(元横綱・北勝海)が何度電話しても全く応答なく、折り返しの電話もないというのは著しく礼を欠いていたのではないか」と池坊議長は厳しく指摘した。

 関係者によると、処分とともに貴乃花親方には“注文”がつけられる。危機管理委の聴取を遅らせる一因となった、度重なる着信“無視”については改めることを要求。音信不通状態となり業務に支障を来してはならないと要請するという。また、協会員としての協調性も要求。初場所は役員待遇の親方が集まる部屋への“出勤”が求められることになる。

 これまで同様、電話に出ないなど態度が改善されなかった場合は理事復帰にも影響する。池坊議長は貴乃花親方が初場所後に控える理事選で当選しても、評議員会で承認しない可能性について「理事会とは別個に相撲協会の管理、運営に対して正しく行われるようにする機関。そのとき評議員が知恵を出し合いながら進めていきたい」と否定しなかった。

 決定は、評議員会が終了した正午すぎ、貴乃花部屋へ電話で告げられた。だが、同親方は不在。部屋関係者に至急連絡を取りたい旨を伝えると、約30分後「分かりました」と親方本人から協会事務局に電話があったことが、池坊議長の会見中に明かされた。「今後は協力し合い、礼を持って行動していただきたい」と言う議長の要望が受け入れられ、昨年11月に発覚した騒動が一応の決着をみた。

 ◆評議員会 定数は5人以上7人以内で、過半数を外部有識者で構成しなければならない。相撲協会の最高議決機関で理事の選任、解任という権限があり、年寄(親方)が務める場合は年寄名跡を持ったまま任期(4年)内は本名で番付などに記載される。議長は裁決の際に同数で意見が分かれた場合のみ議決権を持つ。

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