【尾車親方の目】白鵬は直そうという意識あった

スポーツ報知
懸賞金をしっかりと持つ白鵬

◆大相撲初場所初日 ○白鵬(突き落とし)阿武咲●(14日・両国国技館)

 横綱・白鵬(32)=宮城野=は、横綱審議委員会(横審)が観戦する前で、批判を受けた立ち合いの張り差し、かち上げを使わずに小結・阿武咲(おうのしょう、21)=阿武松=を突き落とし、白星スタートを決めた。元横綱・日馬富士関(33)の暴行問題をめぐる言動などで悪役扱いとなったが、動揺も見せなかった。

 白鵬の立ち合いには迷いがあった。周りからさまざまなことを言われ、しかも重圧のかかる初日、体も硬かったと思う。阿武咲に一気に持って行かれるのを嫌がって、左上手を肩越しに取りにいった。上手は取れなかったものの、左に動いて突進してきた阿武咲をかわして白星をもぎ取った。

 左から張って右からかち上げ気味に当たる立ち合いが物議をかもしている。しかし、三役から大関、横綱に昇っていった時の立ち合いは、右肩から強く当たって左前回しを取る相撲だった。とにかく左前回しにこだわっていた。右肩から強く当たる立ち合いを思い出せば、再び勢いのある相撲を取り戻すことはできる。

 相撲は立ち合い、思い切り当たった後の攻防から始まる。白鵬も立ち合いの癖を直そうという意識はあった。だから左上手にこだわってフワリと立ってしまった。迷いながらもつかんだ白星は大きい。(スポーツ報知評論家)

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