白鵬「まあ言葉がないね。完敗」立ち合いでの荒技封印で北勝富士に押し出される

スポーツ報知
3日目にして黒星を喫した白鵬は、支度部屋に戻りぶ然とした表情(カメラ・清水 武)

◆大相撲初場所3日目 ○北勝富士(押し出し)白鵬●(16日・両国国技館)

 粗暴な立ち合いを批判されている横綱・白鵬(32)=宮城野=が今場所初黒星を喫した。横綱審議委員会(横審)から「見たくない」とクギを刺された張り差しとかち上げを3日連続で封印した上に、痛めている古傷の右足親指の影響からか本来の力強さが見えず。東前頭筆頭・北勝富士(25)=八角=に、押し出されて17個目の金星を配給し、2場所連続41回目の優勝に暗雲が漂ってきた。4場所連続休場からの復活を目指す横綱・稀勢の里(31)=田子ノ浦=も西前頭筆頭・逸ノ城(24)=湊=に寄り切られて早くも2敗目。

 白鵬は潔く負けを認めた。それほど一方的な黒星だった。立ち合いでは、張り手ではなく胸を出してさぐった左上手に届かず。たまらずに引くと棒立ちにされて横向きに押し出された。座布団が飛んだ光景を背にした東の花道で、への字に口を曲げて昨年春場所以来5場所ぶりに金星を配給した現実と向き合った。

 約20分間、風呂場で頭を洗った後にサバサバした表情で受け答え。「(立ち合いに)迷いはなかった。北勝富士がいい相撲だったと思います。全部がかみ合ったんじゃないですか」と相手を絶賛。そして続けた。「まあ言葉がないね。完敗」。こう言うと報道陣を遠ざけた。いつもはまげを結い終わるまで応じる取材を切り上げた姿に、悔しさがにじみ出ていた。

 40回目の優勝を飾った先場所は張り手を15日中13回も繰り出した。横審から「横綱相撲とは到底言えない。見たくない」と注文をつけられた立ち合いの荒技。今場所は初日から封印し、この日も出さなかった。稽古場で撮影した映像で立ち合いの高さと角度を連日確認。批判を封じるため、「本場所でやらないと自分のものにならない」とあえて正攻法に切り替えたが、影響は隠せない。初日の稽古で痛めた右足も「腫れは引いていた」と師匠の宮城野親方(元幕内・竹葉山)は語るが、「体が合ってない気がする」と支度部屋を出る前に治療するなどハンデもあった。

 土俵下の山科審判長(元小結・大錦)も、「1回待ったしてね。(けがで)全体的にしっくり来ないと思うよ」と変化を見逃さなかった。昨年末からの批判で、窮屈な状況に追い込まれた大横綱。巻き返しについて問われると一瞬間を置いて、「日に日に変わると思いますよ」。口に出した言葉は本心か、強がりか―。残り12日間の土俵にその答えがある。(網野 大一郎)

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