稀勢の里、4日目で3敗…横審は「猶予」も休場なら進退問題に発展へ

スポーツ報知
3敗目を喫した稀勢の里は、負け残りの土俵下で唇をかみ痛恨の表情を見せた(カメラ・酒井 悠一)

◆大相撲初場所4日目 ○琴奨菊(突き落とし)稀勢の里●(17日・両国国技館)

 今場所3敗目を喫した横綱・稀勢の里(31)=田子ノ浦=が5場所連続休場の危機に追い込まれた。西前頭2枚目・琴奨菊(33)=佐渡ケ嶽=に豪快に突き落とされ、2日連続となる通算11個目の金星を配給。4日目での3敗は昨年初場所後の横綱昇進後初めて。横綱審議委員会(横審)からは「猶予」を与えられているが、休場となれば進退問題への発展は避けられそうにない。

 4場所連続休場からの再起を図る稀勢の里が、またもつまずいた。琴奨菊との立ち合い。得意の左を差したが簡単に上体を起こされ、右肩から力なく崩れ落ちた。騒然とする両国国技館の土俵下。思い詰めた表情で大きく息を吐いた。足早に戻った支度部屋でも重苦しい空気。髪を結う間はじっと正面を見つめ、報道陣からの問いかけにも「うーん」と、繰り返すばかりだった。

 4日目で3敗を喫するのは横綱昇進後では自身初。2日目の結びで北勝富士から初白星をつかみ、一度は持ち直したかに見えたが、再び窮地に立たされた。復活を期して場所中も立ち合いを入念に確認。この日の朝稽古でも横綱は「いい状態。やるだけですよ」と強気の姿勢は崩していなかった。

 師匠の田子ノ浦親方(元幕内・隆の鶴)は「気持ちは切れていない。稽古場と本場所の土俵は違う。番数をこなせば良くなるし、(休場明けから)体が思い出してくるし、先場所までとは違う」と奮起を促した。場所前には30番近い稽古もこなすなど、着実に状態が良くなるなかで初日を迎えただけに「(場所を)休んで勝てるようになるならいいが、そうはいかない」と復活ロードがままならない葛藤もにじませた。

 幕内最多66度目の対戦となった同世代のライバルに喫した痛恨の黒星。稀勢の里が初優勝した昨年初場所で唯一の黒星をつけられたのも琴奨菊戦だった。これで2日連続、通算11個目の金星配給。藤島審判長(元大関・武双山)も「精神面ですね。立ち合いで低くいっているけど腰が高い」と厳しく指摘した。

 5日の稽古総見で横審は、稀勢の里が仮に5場所連続休場となった場合でも、進退については猶予があるとした。土俵に立ち続けて巻き返すのか、春場所(3月11日初日・エディオンアリーナ大阪)で完全復活を目指すのか―。苦境に立たされた和製横綱の決断に注目が集まる。(小沼 春彦)

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