御嶽海、7連勝で大関取り見えてきた

スポーツ報知
御嶽海(上)は嘉風を引き落としで下し7連勝(カメラ・池内 雅彦)

◆大相撲初場所7日目 ○御嶽海(引き落とし)嘉風●(20日・両国国技館)

 関脇・御嶽海が初の中日勝ち越しに王手をかけた。2横綱1大関を3日連続で破っていた前頭2枚目・嘉風を引き落として7連勝。長野県勢初、角界屈指の名門・出羽海部屋では1980年初場所の横綱・三重ノ海以来38年ぶりとなる優勝へ向け、次期大関候補に覚醒の気配が充満してきた。4場所連続休場明けの横綱・鶴竜も全勝をキープ。松鳳山、大栄翔に今場所初黒星の栃ノ心、朝乃山を加えた平幕4人が1敗で追う。

 冷静沈着な引き技で御嶽海が初日から土つかずの7連勝だ。難敵・嘉風を強烈な突き押しで土俵際まで追い詰めると、反動を利用して引き落とした。技ありの5秒6。「本当は押し出そうと思っていたが流れが良かったので。まだ(白星)7個。一日一番、自分の相撲を取るだけ」。初のストレート給金に王手をかけても浮かれる様子はなかった。

 25歳の快進撃。徐々に期待も高まりつつある。この日の懸賞は11本。うち1本は20日から急きょ追加されたものだ。今場所は計79本(手取り237万円)を獲得。今後も上位陣をなぎ倒していけば、昨年名古屋場所の自己最多169本(同507万円)に迫る勢い。つかんだ懸賞袋は「自分が残した実績だから」と大切に保管している。

 昨年は全6場所で勝ち越した。稽古では「初優勝? 100%考えていない」と謙遜も、出羽海部屋から80年初場所の横綱・三重ノ海以来の賜杯も予感させる。各界屈指の名門は一時、関取不在になり、現在も御嶽海のみ。東洋大時代に個人タイトル15個を獲得し、15年の入門時に出羽海親方(元幕内・小城ノ花)から再興を託された。昨年末の忘年会で師匠から「現役の部屋のトップとして若い衆を引っ張れ」と背中を押された。巡業中に上位陣とのぶつかり稽古を“回避”する姿も減るなど、自覚が芽生えつつある。

 周囲の評価も急上昇中だ。藤島審判長(元大関・武双山)は「相手がよく見えて、考えて相撲を取っている。上(大関)に上がる素質はある。優勝争いは御嶽海次第でしょう」とした。

 結びの一番「鶴竜―栃ノ心」を支度部屋で見届けてから国技館を後にした。帰路ではファンから「御嶽海、優勝!」との声も飛んだ。「声援は力になりますね」。破竹の勢いで主役に躍り出た。(小沼 春彦)

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