鶴竜、7場所ぶりストレート給金 データ上V率100%

スポーツ報知
正代(手前)を上手出し投げで下した鶴竜

◆大相撲初場所7日目 ○鶴竜(上手出し投げ)正代●(20日・両国国技館)

 4場所連続休場明けの横綱・鶴竜が7場所ぶりのストレート給金を決めた。1958年の年6場所制以降、4場所以上連続休場した横綱は14人いるが、復帰場所での8連勝以上は63年秋の柏戸、89年初の北勝海だけ。進退が問われる場所で唯一の中日勝ち越しで、データ上はV率100%。関脇・御嶽海は初黒星。栃ノ心、大栄翔は1敗を守ったが松鳳山、朝乃山は2敗に後退した。

 足取りも軽やかに、鶴竜が東の花道から支度部屋へ戻った。立ち合いで一気に右まわしを引くと、会心の上手出し投げ。1秒9の早業で正代を土俵に転がした。「体がよく反応した。相手もよく見えていた」。前回優勝した16年九州場所以来となる初日から無傷の8連勝で勝ち越しを決めた。

 5場所ぶりの皆勤を目指す今場所は、成績次第では進退を問われかねなかった。“土俵際”から一転、単独トップとなる8個の白星を積み重ね、不安の声を封じた。過去の横綱で4場所連続休場の復帰場所で初日から8連勝したのは柏戸と北勝海だけで、ともに優勝している。八角理事長(元横綱・北勝海)は「いつも対戦している相手(正代)だけに油断しかねなかったが、良い相撲だった。全勝(ターン)にホッとしていると思う」と状態の良さを評価。出羽海審判長(元幕内・小城ノ花)も「落ち着いていた。勝ち越して気持ちも楽になるのでは」と心中を推し量った。

 疲労がたまり始める中日の取組後、もうひと踏ん張りするために付け人らと恒例の焼き肉に出かけて活力を取り戻した。「若い衆と食べに行くことにしている。好きな部位? ハラミですね。一番おいしい」。場所中も体重を落とさず、勝負の後半戦へと備える。

 おぼろげながら4度目の賜杯が見えてきたが、表情は崩さず最後まで淡々と報道陣の問いかけに応じた。「重圧? それはなるべく考えないように。やっと半分(8日目)という感じ。まだ7番ある。また気持ちを引き締めて、今まで通りに集中していきたい」。白鵬、稀勢の里が休場し、1人横綱の重責も担う。自身7度目のストレート給金には不退転の決意がにじんでいる。(小沼 春彦)

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