稀勢の里“休む勇気”も必要…次も途中休場なら横審から「激励」も
大相撲の横綱審議委員会(横審)の定例会合が29日、両国国技館で行われ、初場所で5場所連続休場となった横綱・稀勢の里(31)=田子ノ浦=には、次に出場して途中休場なら内規に従い、「激励」などの決議を行う意見でほぼ一致した。
北村正任委員長(毎日新聞社名誉顧問)は、「15日間、横綱として務められる自信、体力的にも精神的にも確信がなければ出てこないほうがいい」と途中休場を繰り返す和製横綱の現状を問題視した。初場所6日目からの休場を含めると1958年の年6場所制以降では6人目となる5場所連続休場。昨年秋場所の全休を除き、全て出ては休むの繰り返しに、「判断を間違えてはいけない」と認識の甘さを指摘した。
厳しい見解には理由があった。「稀勢の里はファンが期待している力士。この困難を乗り切ってほしい」と復活を望んだ上で、「同じことを繰り返されるなら(横審として)考えなければいけない」と勧告決議をちらつかせた。それでも決議では最も軽い激励。宮田亮平委員は「勇気を持って出る、(と同時に)勇気を持って休む。こんな状態が続いて横審に見解を求められても困る」と頑固な横綱に“休む勇気”を自覚させる狙いが透けて見える。
あえて進退という言葉を使わず奮起と自覚を求めたが、再起を期す舞台を無期限に先延ばしはできない。北村委員長は「何場所も休まれても困る。成り行きを見て判断する」としており、横綱最長となった貴乃花の7場所連続がデッドラインになりそうだ。(網野 大一郎)
◆横綱審議委員会の内規5条1項 横綱の休場が連続した時、そのけがや病気の内容によっては審議の上、再起の可能を認めて治療に専念させることがある。その場合、横審は横綱の実態をよく調査して、出席委員の3分の2の決議により、激励、注意、引退勧告等をなす。