栃ノ心、初Vから連覇なら綱 過去7人のデータが後押し

スポーツ報知
千秋楽から一夜明け、部屋の前でポーズをとる栃ノ心(カメラ・能登谷 博明)

 大相撲初場所でジョージア出身では初となる6年ぶりの平幕優勝を成し遂げた栃ノ心(30)=春日野=が29日、東京・墨田区の春日野部屋で千秋楽一夜明け会見を行った。

 早くも来週から稽古を再開すると明かし、関脇復帰が濃厚な春場所(3月11日初日・エディオンアリーナ大阪)で、次は大関昇進への道を切り開く。過去、初優勝から連続賜杯を手にした力士全員が「横綱」という吉兆データもあり、新春の勢いのまま突き進む。

 午前9時20分、晴れやかな表情の栃ノ心が、自転車に乗って春日野部屋に現れた。母国・ジョージアの熱狂ぶりも耳に届き、初優勝の偉業を徐々に実感。「こんなに月曜日の気持ちがいいのは初めて。うれしいね。祝杯? 前夜は忙しくて(酒を)飲む暇がなかった」と、満面の笑みだった。

 初場所後も研修会など公式行事が続くため、故郷凱旋は5月終わりまでお預け。ジョージアで暮らすニノ夫人と昨年11月に誕生した長女・アナスタシアちゃんを思い、「会いたい」と本音も漏れた。

 柔和な顔が勝負師の表情へと一変したのは、関脇返り咲き濃厚な春場所への意気込みについての時だ。「来週から稽古を始める。しっかり稽古して大阪に入る」。三役を務めた過去9場所で勝ち越したのは小結だった2015年秋場所だけ。初優勝の勢いで負の記憶は払拭する。

 平幕で今場所14勝。三役で迎える来場所が大関昇進への足がかりだ。この日も「大関取り? 頑張ります」と多くは語らなかったが、モチベーションを高めるデータがある。過去、初優勝から連続で賜杯を抱いた力士は1911年の太刀山から昨年の稀勢の里まで7人。全員が最高位は「横綱」だ。

 もちろん道のりは険しく、先の話ではあるが、まずは挑戦する権利を栃ノ心は手にした。「30歳になったけどまだまだ。立ち合いの踏み込みをもっと勉強する。今場所優勝したので、また勝てるように頑張る」と結んだ。役力士から右膝の大けがで一時は幕下転落も、81年秋場所の琴風(元大関、現尾車親方)以来の復活優勝。不屈の男はさらに上を見据える。(小沼 春彦)

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