逸ノ城“ヘビー級対決”制し2敗死守 初賜杯に望み

スポーツ報知
逸ノ城(右)が寄り 切りで魁聖を破る

◆大相撲初場所10日目 ○逸ノ城(寄り切り)魁聖●(20日・エディオンアリーナ大阪)

 注目の“ヘビー級対決”は幕内最重量215キロの小結・逸ノ城が、全勝だった205キロで2番目に重い前頭6枚目・魁聖を力強く寄り切った。「モンゴルの怪物」と騒がれた逸材はこれで4場所連続の勝ち越し。2敗を守って中盤戦を終え、初賜杯に望みをつないだ。横綱・鶴竜は寄り切りで前頭5枚目・千代丸を破り、初日から10連勝で単独トップに立った。3日目から8連勝の大関・高安も2敗で追う。

 濃密な60秒間に館内が沸いた。巨漢同士のがっぷり四つ。身長192センチ、215キロの逸ノ城が、一度は194センチ、205キロの魁聖に土俵際まで迫られたが、左上手を引いて盛り返した。「お互い右四つ。横に動こうと思ったが、止まって落ち着いて。やっぱり前に出ようと思った」。息が上がるなかでも冷静に正攻法を選択。2度、3度と巨体を揺さぶって寄り切った。

 全勝の魁聖を止めた。4場所連続の勝ち越しで2敗を守った。鳴りやまない拍手を浴びても、表情一つ変えなかった。「相手が全勝で考えてしまった。本当は先に動きたかった」と、反省も忘れなかった。

 16場所ぶりの三役復帰に期するものがある。新入幕の2014年秋は、ざんばら髪の優勝争いで注目された。だが、体重増の結果、2年前に腰椎椎間板ヘルニアを発症。昨年は190キロ前後まで減量を試したが今度はパワー不足に悩んだ。「重くて動けるのが一番いい」と考え直した。体幹強化と並行して体重も“健康的に”元に戻した。暴飲暴食はしない。9日目(19日)の夕食は、力士としては少ない「びっくりドンキー」のハンバーグ300グラムを2個。現在の215キロをキープするため、「食べても太らないと一度は言ってみたい」と笑う。

 八角理事長(元横綱・北勝海)は「逸ノ城は止まったら力がある。苦労もして地に足がついてきた」と成長ぶりに目を細めた。この日の魁聖戦は懸賞なし。「いつもはあったのに…」と苦笑したが、21日は初日から10連勝の横綱・鶴竜に、結びで挑戦する。懸賞幕に囲まれながら上位に食らいついていく。

(小沼 春彦)

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