栃ノ心、関脇初勝ち越しで夏場所大関取り一直線!…鶴竜の連勝11で止めた

スポーツ報知
横綱の鶴竜(右)を寄り切りで破った栃ノ心(カメラ・小梶 亮一)

◆大相撲春場所12日目 ○栃ノ心(寄り切り)鶴竜●(22日・エディオンアリーナ大阪)

 関脇・栃ノ心が横綱・鶴竜の初日からの連勝を11で止めた。過去1勝21敗の難敵を寄り切り。負ければ13日目にも鶴竜の優勝が決まる展開を、自慢の怪力で混戦に持ち込んだ。関脇初の勝ち越しを決め、夏場所(5月13日初日・両国国技館)での大関取りへ前進。前頭6枚目・魁聖は2敗目。大関・高安は3敗目となり、同じ3敗の大関・豪栄道、前頭13枚目・大翔丸、同14枚目・勢にも優勝の可能性が残った。

 無敗で優勝争い独走中の鶴竜を、8年ぶりにねじ伏せた。栃ノ心の左腕が無意識に横綱のまわしに伸びた。「左(上手)を取れたからホッとしたよ」。得意の右四つ。過去1勝21敗の苦手意識を振り払い21秒3で寄り切った。座布団が舞う館内で大歓声を浴びて目は真っ赤。興奮状態のまま花道を引き揚げた。

 上位陣総崩れを演出し賜杯の行方は再び大混戦に。10日目から豪栄道、高安の2大関に連敗して自身の2場所連続優勝は遠のいていたが、意地もあった。4敗目を喫した後は「落ち込んでもしょうがない。黒(星)が白(星)にはならない」と切り替えていた。

 10度目の三役復帰となる関脇で8勝目。三役勝ち越しは小結時代の15年秋以来2度目で、苦手データも吹き飛ばした。平幕優勝した初場所は鶴竜に敗れたものの14勝を挙げ、大関昇進への足固めにも前進。残り3日間の目標は「10番勝てるように」。優勝も加味される3場所33勝以上の指標をクリアすれば、夏場所での大関取り候補にも挙がってくる。

 米俳優ニコラス・ケイジ似の人気は沸騰中。館内で母国・ジョージア語の応援ボードが掲げられることもある。「ジョージア語を見かけるとうれしい。でも(表記が)難しいから。今場所も『頑張れ、行け』という意味で出してくれたと思うんだけど『帰れ』になっていてね」と“誤訳”に苦笑い。それでも「ファンが間違えたんだね。でも横にハートマークがあったから。ありがたいよ」と感謝は忘れなかった。

 通算900回出場を大きな白星で飾った。「あと3日あるから気合を入れてしっかりと」。V戦線をかき回し、春の大阪でも存在感を示す。(小沼 春彦)

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