竜電、入幕2場所連続勝ち越しで通算300勝達成…富士桜以来47年ぶり

スポーツ報知
竜電(右)は朝乃山を寄り切り、新入幕からの2場所連続勝ち越しを決めた

◆大相撲春場所千秋楽 〇竜電(寄り切り)朝乃山●(25日・エディオンアリーナ大阪)

 西前頭9枚目・竜電(27)=高田川=が、同13枚目・朝乃山(24)=高砂=を寄り切りで破り、怒とうの5連勝。8勝7敗とし、山梨県出身力士としては、1971年九州場所の元関脇・富士桜以来の、新入幕から2場所連続勝ち越しを決めると同時に、通算300勝を達成し、今場所を締めくくった。5連敗を喫する苦しみも味わった中、師匠・高田川親方(元関脇・安芸乃島)の言葉も力にし、15日間を戦い抜いた。

 やり切った男の顔だ。竜電は、取組後の支度部屋で息を切らしながらも笑顔をのぞかせた。「(全て)出し切れました」。激しい攻防の中、土俵際での粘りも見せ、最後は寄り切りで朝乃山を退けた。5連勝締め。「あれでいいんじゃないですか。攻める気持ちがあったから」と勝因を語った。

 苦しんだ今場所だった。初日に白星を挙げるも、2日目から5連敗。新入幕だった初場所では10勝し、敢闘賞も受賞するなど結果を残した。今場所前も調子は良かった。その中で、自身も「自覚はなかった」というが、どこか気持ちに隙が生まれていた。高田川親方は見抜いており、「油断してたんだよ」という厳しい言葉もかけられた。

 師匠のゲキに気合を入れ直すと、後半戦は白星を重ねた。竜電も「精神的に強くなりました」と振り返った。そんなまな弟子の姿に師匠も、「今場所は前半戦は良くなかったけれど、後半戦は良くなった」と成長を認めるとともに、「稽古して鍛えるしかない」とさらなる奮起も期待した。

 山梨県出身力士の新入幕から2場所連続勝ち越しは47年ぶり。竜電は「正直、勝ち越しはうれしいです」と素直な気持ちも明かした。しかし、満足はない。通算300勝も達成し、節目の場所となったが、「まだまだ。しっかり稽古して…、稽古ですね。もっと足腰を鍛えていきたい。ケガをしないようにしていきたいです」。その視線は、すでに来場所へ向けられていた。

(古川 浩司)

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