照ノ富士、引退ピンチ…元大関が幕下陥落なら昭和以降初の屈辱

スポーツ報知
3日目の15日、志摩ノ海に敗れた照ノ富士

◆大相撲 夏場所4日目(16日・両国国技館)

 元大関で東十両8枚目の照ノ富士(26)=伊勢ケ浜=が4日目から休場した。「左膝外側半月板損傷で現在加療中。本日より5月場所の休場を要する」との診断書を日本相撲協会に提出。再出場の可能性は残したものの、最低でも5勝しなければ幕下陥落が濃厚だ。昭和以降で大関経験者が幕下落ちした例はなく、横綱を期待された男が引退の危機に直面した。幕内では横綱・白鵬、栃ノ心、逸ノ城の両関脇、平幕の正代が全勝。横綱・鶴竜に土がついた。

 照ノ富士が追い込まれた。今年初場所以来、通算6回目の休場。師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)は「2人で話し合って決めた。今は相撲を取るよりも痛みの方が勝っている。今は全然、下半身に力が入っていない。糖尿病は大丈夫」と説明した。左膝は春場所後も稽古で無理を重ねて状態が悪化。一時離脱した春巡業後も回復せず、痛み止めが効かない状態で初日から一方的な敗戦を重ねていた。

 現在の番付で十両残留には最低5勝が必要なため、途中出場の可能性を残した。「本人も全部休むと決めたわけではない。状態が良くなれば出たいという気持ちがある」と伊勢ケ浜親方。手術はせず通院治療を選択する方針だが、照ノ富士は2日目に敗れた際に「力が入っていたら勝てる。体幹も弱ってるしね」と話しており、再び出ても白星を重ねられる保証はない。

 昭和以降で幕下で相撲をとった元大関はいない。十両転落者も大受、雅山(現・二子山親方)、把瑠都(場所前に引退)を含めて4人だけ。照ノ富士は15年夏場所で初優勝して大関に昇進し、192センチの上背を生かしたスケール感ある相撲で横綱候補と言われたが、膝のけがが命取りだった。関係者は「結果論だけど決断の時期を誤った」と昨年名古屋場所で左半月板を負傷した時点で手術し、数場所休場して回復に努めていれば―と残念がった。

 幕下陥落の場合について伊勢ケ浜親方は「先のことなんか分かりはしないよ。その時にならないと言えることじゃない」と言及を避けたが、引退の2文字が現実味を帯びてきた。

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