栃ノ心、大関取りへストレート勝ち越し「後半戦で大事なもの? 白星や」

スポーツ報知
逸ノ城(左)を寄り切りで下し8連勝の栃ノ心

◆大相撲 夏場所8日目 ○栃ノ心(寄り切り)●逸ノ城(20日・両国国技館)

 栃ノ心が逸ノ城との関脇対決に寄り切りで完勝。初のストレート給金を決めて大関当確まで2勝とした。昇進に必要な2ケタ勝利に10連勝で到達すれば、師匠の春日野親方(元関脇・栃乃和歌)の56歳の誕生日(22日)とも重なる。鶴竜、白鵬の両横綱と前頭11枚目・千代の国が1敗で追走。昭和の大横綱・大鵬の孫で東序二段11枚目・納谷(18)=大嶽=も4連勝で勝ち越しを決めた。

 栃ノ心が進化した取り口で48秒の熱戦を制した。立ち合いで225キロの逸ノ城と得意の右四つも、逆に両足を浮かされる劣勢になった。すると、瞬時の投げで巨体を揺さぶり、左上手を捨てて脇元に差し込んだ。もろ差しに虚を突かれた巨体は徐々に後退。「前よりも重かった。もろ差しじゃなかったらダメだった」。機転を利かせた初のストレート給金に、八角理事長(元横綱・北勝海)は「巻き替えが良かった。優勝もあるのでは」と成長を高く評価した。

 転機は“貴の乱”真っただ中の昨年12月の冬巡業。元横綱・日馬富士関の傷害事件余波により巡業部長だった貴乃花親方(元横綱)の代行として、師匠・春日野親方の帯同が急きょ決定した。四つに組んでも同9月の秋場所で4勝11敗と大負けするなど、当時は「もうダメかも」と漏らすほどのスランプ状態。気落ちする弟子に「前に出ろ、バカ野郎」と連日、土俵下からゲキを飛ばした。「俺の相撲を見ている師匠は幸せそう」と奮起し、大関取りの起点となる初場所の初Vにつなげた。

 昇進ラインの2ケタ勝利まであと2勝。春日野親方も「勝てて良かった。もろ差しなんか見たことがない。立派ですよ」と喜んだ。賜杯争いも単独トップで中日を終えた。順調なら22日の10日目に“当確ランプ”がともるが、その日は師匠の56歳の誕生日だ。栃ノ心は「後半戦で大事なもの? 白星や」と即答して笑った。弟子から最高の恩返しを約束した。(小沼 春彦)

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