栃ノ心、無傷9勝で大関王手!162キロ・大栄翔つり上げた

スポーツ報知
取組前、土俵に塩をまく栃ノ心(カメラ・酒井 悠一)

◆大相撲 夏場所9日目 ○栃ノ心(寄り切り)大栄翔●(21日・両国国技館)

 関脇・栃ノ心が大関昇進に王手をかけた。前頭3枚目・大栄翔を寄り切りで下して初日から9連勝。力強い相撲内容に八角理事長(元横綱・北勝海)も高評価を与えた。昇進目安となる3場所合計33勝に到達したが2場所前が平幕のため、2ケタ白星で昇進に説得力を持たせる。前頭11枚目・千代の国、横綱・鶴竜と共に1敗を守った横綱・白鵬は10日目に再出場する小結・遠藤と対戦。大関・豪栄道の休場で63年ぶりに場所中に大関が不在となった。

 新大関誕生へ“王手”をかけるに十分な内容だった。館内の大拍手を浴びると栃ノ心の闘志に火がついた。土俵中央で顔を紅潮させ、盤石の右四つから162キロの大栄翔をつり上げた。「まわしをつかんだら負けないよ」。浮いた相手の両足は無力にもハの字になった。そのまま9秒で寄り切って、賜杯争い単独トップの座も譲らなかった。

 昇進目安は、三役で直近3場所33勝。平幕で初優勝した初場所は14勝、春場所も10勝した。数字上はこの日の9勝目で計33勝到達も、“当確ランプ”は2ケタ勝利までお預け。起点の初場所が平幕だったこと、15日制が定着した1949年以降、直前場所が9勝止まりの昇進例もない。

 あと一つに迫った白星の一方で、評価に加味される取組内容は絶賛の嵐だ。八角理事長が「足に力が入っているから(大栄翔は)壁にぶつかっている感じだろう。内容は申し分ない。2ケタより優勝(を狙える)」と言えば、藤島審判長(元大関・武双山)も「誰が見ても強いなという相撲。説得力がある」と賛辞を惜しまなかった。

 過度な緊張もない。「初場所は手汗でベチャベチャだったけど今はパサパサ」と両手を広げて余裕の表情。今場所から連日、整体師2人に約1時間半のマッサージを受けて入念な体調管理も施す。22日は師匠・春日野親方(元関脇・栃乃和歌)の56歳の誕生日だけに「勝たないとな。もう一丁やな」と気合。死角はもう見当たらない。(小沼 春彦)

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