【怪力大関・栃ノ心】〈中〉母国ジョージアにミュージアムと土俵を作りたい

スポーツ報知

 気は優しくて力持ち。土俵を離れれば気さくな人柄が魅力だ。相撲人生を懸けた大関取りの夏場所中も、「気分転換になる」と、毎朝の稽古後には報道陣と車座になってのおしゃべりタイムが始まった。

 大さじ2杯の蜂蜜が毎日の健康法。柔道男子代表の井上康生監督を尊敬し、一番のリラックス法はサウナと水風呂だ。「禁酒中だから風呂上がりはコーラね」と、周囲を笑わせた。

 本場所中であっても、「気持ちが晴れる」と自宅キッチンに立って包丁を握った。得意料理はトマトベースのスパイシーなジョージア風肉鍋。牛、豚肉を計約2キロもさばき、豪快に投入する。余った肉はアスパラに巻いた。マイ包丁は6本所持。「その内3本はテレビショッピング。ついつい買ってしまったよ」。怪力自慢も、話術には弱いようだ。

 思い出話に感極まったこともある。脳疾患で倒れていた祖母・ナテラさんが、初優勝した1月の初場所後、脳疾患で亡くなった。「おばあちゃんは来日できなかった。小さい頃はイタズラしてよく怒られた。最後に電話報告できて良かった。親類の顔も誰か分からないなか『レヴァニ(本名)だね』と返事してくれてね」と、孫としての恩返しを明かした。

 新入幕から所要60場所で幕内優勝1度、三賞は計11個。母国に獲得したトロフィーを展示する、“栃ノ心ミュージアム”構想もある。「その隣に土俵も作りたい。ジョージアの人にもっと相撲を好きになってもらいたい」。新大関の夢は広がる。(小沼 春彦)

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