大関初陣白星をつかんだ栃ノ心、師匠の夢を背負う「なす紺」まわし

◆大相撲名古屋場所初日　○栃ノ心（寄り切り）勢●（８日・ドルフィンズアリーナ）

　栃ノ心（３０）＝春日野＝が大関デビューを白星で飾った。前頭２枚目・勢（３１）＝伊勢ノ海＝を一方的に寄り切り、平成以降に誕生した２５人の新大関のうち１０人（休場含む）がつまずいた鬼門の初日を突破。史上９人目の新大関優勝へ力強い一歩を踏み出した。年６場所制（１９５８年）以降８人目の３場所連続優勝を狙う横綱・鶴竜（３２）＝井筒＝も白星発進。高安は勝利も豪栄道は黒星と、カド番の２大関は明暗が分かれた。

　栃ノ心は師匠・春日野親方（元関脇・栃乃和歌）から譲り受けた「なす紺」の締め込みで大関初陣白星をつかんだ。「師匠からもらったから、そりゃ似合うでしょ」と上機嫌。夏場所まで使用していた「灰色」も含め、栃乃和歌モデルは今回で３本目だという。

　「なす紺」は師匠が現役の最後の頃に使っていたもので、状態良く部屋の倉庫に保管してあった。「一番きれいな色」と以前から目をつけ、昇進を機に「着けていいですか？」と切り出して許された。春日野親方は「新大関なのに古いのでいいのかな？」と心配したが、報道陣から「温故知新ですね」と諭され納得。伝達式の口上で「親方」の文言を譲らなかった弟子は、大関の夢を果たせなかった師匠の思いも締め込んでいた。