栃ノ心、新大関Vへ鬼門1勝「初日は大事」

スポーツ報知
初日白星に笑顔の栃ノ心

◆大相撲名古屋場所初日 ○栃ノ心(寄り切り)勢●(8日・ドルフィンズアリーナ)

 栃ノ心(30)=春日野=が大関デビューを白星で飾った。前頭2枚目・勢(31)=伊勢ノ海=を一方的に寄り切り、平成以降に誕生した25人の新大関のうち10人(休場含む)がつまずいた鬼門の初日を突破。史上9人目の新大関優勝へ力強い一歩を踏み出した。年6場所制(1958年)以降8人目の3場所連続優勝を狙う横綱・鶴竜(32)=井筒=も白星発進。高安は勝利も豪栄道は黒星と、カド番の2大関は明暗が分かれた。

 緊張感たっぷりの大関初陣で、栃ノ心が奮い立った。鋭い立ち合いから難敵・勢の左上手を一気に引いて5秒2の寄り切り。「気合が入らないと勝てない。いつもよりドキドキしたけどうれしい」と満点デビューを振り返った。会場で初めて味わう「大関、栃ノ心」のアナウンスも心地よかった。

 06年夏場所の白鵬以来12年ぶりの新大関Vを狙うが、初日は大きな関門だった。平成以降は25人の大関が誕生したが、豪栄道、高安ら10人がデビュー戦で勝てず。新大関優勝を果たした8人は全員が白星発進しており、最初のハードルをクリアすると「初日は大事」と大きく息を吐いた。

 初Vを果たした初場所から昇進を決めた夏場所まで、満身創痍(そうい)で闘い続けてきた。左太もも、右肩…、現在は右手首痛を抱える。「状態は8割」と気丈に振る舞い続け、歯を食いしばって右を差した。

 右膝の大けがで一時は幕下まで落ちた苦い経験もある。だから、コンディション維持に妥協は許さない。6月上旬、米大リーグ・エンゼルスの大谷翔平投手(24)も使用する酒井医療の小型ハイボルテージ電気刺激治療器「フィジオアクティブHV」(約50万円)を個人購入。痛みの軽減や、筋肉の張りを緩和する“強力援軍”に「どこにでも持ち運べる」と、大谷流のケアをフル活用し、真夏の名古屋に備えていた。

 場所前には角界の顔として「プレッシャーはある」と打ち明けたこともあったが、もう過去の話。不安は白星で振り払った。「また明日から一日一番、力強い相撲を取りたい」。無我夢中で2度目の賜杯をつかみ取る。(小沼 春彦)

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