“高校5冠”怪物・斎藤が八角部屋入門 190センチ135キロ、50メートル走6秒台

スポーツ報知
入門会見で師匠となる八角理事長と握手する斎藤(左)

 高校相撲界の怪物が大相撲に殴り込みをかける。昨年のインターハイ(静岡)で高校横綱に輝いた埼玉栄高3年の斎藤大輔(18)が21日、埼玉県内の同校で八角部屋の入門会見に臨んだ。

 “高校5冠”の怪物は190センチ、135キロの肉体を持ちながら、50メートルを6秒台で走るスピードを兼ね備えている。来月2日に春場所(10日初日、エディオンアリーナ大阪)の新弟子検査を受検、合格すれば前相撲でベールを脱ぐ。

 すべてが規格外だ。斎藤は突き押しで相手を崩してからの左四つが得意。埼玉栄の山田道紀(みちのり)監督は「プロの世界は甘くない。ゼロからの出発」と前置きしながら「(右)上手の形は高校生では飛び抜けた存在」と実力を認めている。斎藤も「早く関取になって埼玉栄、山田先生、応援してくれた人に恩返しがしたい」と意気込んだ。

 文部科学省の「体力・運動能力調査」(2015年)によると、高校3年の男子生徒の50メートル走の平均タイムは7秒16。怪物は135キロの大きな体ながら6秒台で走る。「アスリートの要素をすべて持っている」と山田監督。強靱(きょうじん)な肉体とスピードで獲得した個人タイトルは5冠。無敵だ。

 精神面も成長している。「中学時代はまだ子供。高校に入学した頃もヤンチャ坊主で先生方に迷惑ばかりかけていた。2、3年になると責任感がある生徒になった。後輩の面倒もよく見ていた。大学に進んで卒業後は教員の道もあった。後輩に教える斎藤を見ていていい指導者になると思った」と山田監督。

 八角親方(元横綱・北勝海)との出会いは「わんぱく相撲全国大会」で山形・酒田市から上京、八角部屋で寝泊まりしたのが最初だった。昨年12月の全日本選手権後に八角部屋を見学、八角親方から「一緒に頑張ろう」と背中を押され「ついていこうと決めました」と斎藤は振り返る。八角親方は「気は優しくて力持ち、そんな華のある力士になってほしい」とまぶしそうに見つめていた。

 埼玉栄で高校横綱になったのは大関・豪栄道(境川)、北勝富士(八角)ら。同校出身は貴景勝(千賀ノ浦)、矢後(尾車)ら、そうそうたる力士が活躍している。「早く追いつくことが目標です」と怪物は静かに言い切った。(今関 達巳)

 ◆相撲の高校国内主要タイトル 「横綱」を決める夏の全国高校相撲選手権のほか、高校相撲金沢大会、選抜高校十和田、宇佐大会、国体、全国高校選抜などがある。過去、角界入りした高校横綱には1991年に石川・金沢工の出島武春(元大関・出島)らがいる。プロ入りする高校横綱は斎藤で23人目となるが、大相撲の横綱に昇進した力士はまだいない。

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