貴景勝、負傷右足裏は「バッチシ」申し合い14番、体膨らみ大関取りの期待も膨らむ

スポーツ報知
激励会の壇上で、サザンオールスターズの「栄光の男」を熱唱した貴景勝(カメラ・豊田 秀一)

 大相撲の春場所(3月10日初日・エディオンアリーナ大阪)で大関取りに挑む東関脇・貴景勝(22)=千賀ノ浦=が27日、稽古場を置く大阪・勝山高校で相撲を取る稽古を再開。初場所千秋楽で負傷した右足裏について「バッチシ」と自信を示した。

 西前頭4枚目・逸ノ城(25)=湊=ら関取衆4人と相対した申し合い稽古は6勝8敗。黒星先行となったが、結果よりも内容を重視する独自の感性を明かし、手応えを口にした。

 大関取りの春へ。貴景勝にとって、ギアをひとつ上げた40分間だった。初場所以来、初めて相撲を取った。出稽古に来たのは幕内最重量226キロの逸ノ城。部屋の関取衆らを含めての申し合いは6勝8敗と負け越したが「俺の中では良かった。もっとダメかなと思ったけど、現段階では」。勝敗の数字以上の手応えを口にした。

 初場所千秋楽で負傷した右足裏も、問題なし。申し合い最初の一番。鋭い出足から逸ノ城を一方的に押し出した。時折、感触を気にする様子を見せながらも、最後の一番は隆の勝に勝って締めた。「(右足は)すごくいい状態。バッチシ」と、表情明るく言い切った。

 独自の感性を持つ。「白星黒星で判断しない。内容が大事。自分だけに分かる感覚を研ぎ澄ませるように。体を膨らませて、力が出る体に持っていく」。膨らませるとは、筋肉に張りを持たせること。その日に感じる体の状態で足りないところを察知し、稽古の狙いを定める。「後悔しない相撲」がモットー。だから今は勝敗より内容にこだわる。

 この心構えは、積み重ねた経験のたまもの。初場所の千秋楽は、大関・豪栄道に一方的に負けた。「最高の精神状態だったと思うから、相撲は難しい」と振り返る。「逆に精神状態がダメでも勝つことがある。だから千秋楽の負けも、半年後に良かったと思えるように信じてやっている」。結果に気持ちを左右されない。稽古場からその意識を大切にしている。

 初日まであと2週間を切った。大関昇進の目安の「三役で直近3場所33勝」まであと9勝だが、2ケタ白星で新大関を確実にする。「食事、睡眠。ここからが大事になってくる。そこを意識して」と気を引き締める。今後、稽古の番数も増やしていく予定だ。「稽古場からペース配分したらダメ。できるだけ早く、100%の状態に持っていく」。静かに、言葉に力を込めた。(大谷 翔太)

 ◆貴景勝の独特の感性

 ▼16年12月 新入幕でしこ名を佐藤から貴景勝に改名。戦国武将・上杉謙信の家督を継いだ景勝が由来と説明し「景勝は私利私欲で戦わないところが好き」

 ▼17年9月 横綱・日馬富士を破って21歳初金星。「別に優勝したわけでもない」

 ▼17年12月 旧貴乃花部屋の兄弟子だった元貴ノ岩関が、元横綱・日馬富士関から暴行被害を受けた後、「影響はないです。何をされたわけでもない、何をしたわけでもない」

 ▼18年11月 九州場所で幕内初優勝が決まった直後、「弱い自分が出てきた。その中で自分と向きあうことが何よりだと思った」

 ▼19年2月 初めて大関取りを自ら明言し「自分でもハッパをかけていかないと、と思うし、自分はプレッシャーが強ければ強いほどいい」

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